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学校のワクチンは再開の鍵か、英国と米国の研究グループが報告

 再びコロナ禍の中で新学期を迎える英国と米国の大学に対して、学生や周囲のコミュニティを感染から守るために、キャンパスでのワクチン接種やマスク着用、段階的な開始や先延ばしなど、5つの安全策が提案された。
 英国スウォンジー大学や米国デューク大学の研究グループが、医学や医療に関する意見およびコメントの専門誌『BMJ Opinion』で2021年8月に発表した。

昨年の失敗を教訓に

 昨年の秋に大学が始まったときには、米国の感染者数は毎日5万人以上、大学の安全な再開のための全国的な計画などなく、英国でも混乱の中での再開は学生寮やアパートの閉鎖につながった。
 さらに今年は、伝染性が2倍と言われるデルタ株が両国で猛威を振るっている。
 確かに若者がCOVID-19で死亡するケースは稀だが、重症化や後遺症の懸念がある上、キャンパスや地域社会で大学の教授やスタッフ、一般人など周囲の人々を感染させる危険もある。
 そのため研究グループは、大学で感染リスクを最小限にするための5つの対策を提案。
 第一に、キャンパスでのワクチン接種提供による、接種率の押し上げを挙げる。最近の研究で、接種率が90%を超える大学は安全に正常復帰できるという結果が出ているそうだ。
 政府による奨励策や、ナイトクラブに入るための「ワクチンパスポート」導入も、接種率アップに有効だろうと指摘している。
 米国では多くの大学がワクチン接種を義務化しようとしているが、英国では今のところ接種証明書の必要はない。

やはりマスクは必要

 第二に、新学期の開始を段階的にしたり、遅らせたりするほか、多様な学習方法を組み合わせることで、短期間に大量の学生が流入する事態を避けること。英国では高等教育を受ける学生の数はおよそ200万人という。
 第三には、教室や寮を含めて、キャンパス全体で換気をよくするために、HEPAフィルターやCO2モニターなどの設備に投資すること。これはインフルエンザなどの他の呼吸器系疾患の予防にもなる。天候次第では屋外での授業も視野に入れるとよいという。
 4番目として、感染の影響を最小限にとどめるために、キャンパス内での検査と隔離を組み合わせた、有効な接触者追跡システムの導入。適切な自粛を支援し、マイナスの影響を低減するための人的・物的資源の投入が必要になる。

 そして5番目として、室内の講義など、ソーシャルディスタンスが取れないような状況では、マスクの着用を勧めている。
 米国疾病対策センター(CDC)は最近、感染リスクが高い室内では、ワクチン接種した人も含めて、マスクを着用するべきと指針を変更した。これは、ワクチン接種した人でも、感染した場合の体内のウイルス量が、接種していない人と同等の可能性があるというデータに基づいている。
 大学再開後の初期には、予防手段としてマスクが有効だろうと研究グループは指摘している。

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