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米国食品医薬品局(FDA)の処方薬規制監視の範囲に関する消費者の理解についての研究

米国食品医薬品局(FDA)の処方薬規制監視の範囲に関する消費者の理解についての研究が報告されている。

FDAの処方薬の規制監督は、1938年に制定された連邦食品医薬品化粧品法(FD&C)に由来。法律はFDAに米国での販売前に医薬品が安全であるという証拠を要求する権限を与えたと説明する。1962年には、Kefauver-Harris Amendmentsにより、医薬品の安全性に関する規則が強化。FDAが、医薬品メーカーに、販売前に医薬品が有効であることを証明することを義務付けることができるようにした。さらに処方薬の広告をFDAの管轄下に置いた。FDAの規則は、処方薬広告は(1)虚偽または誤解を招くようなものであってはならない(2)薬のリスクと利点の両方を説明する情報の公正なバランスを提示する(3)薬の広告された用途に重要な事実を含まなければならないと規定。FDAの規制では、すべての処方薬の広告は、最初の出版または普及時にFDAに提出しなければならないことが義務付けられている。2017年、FDAは、最初の公開時に10万件以上の処方薬のダイレクト・トゥ・コンシューマー(DTC)および専門家向け販促資料を受領。受け取った資料の量と、これらの資料の提出に必要なタイミングを考えると、FDAは普及前にすべての医薬品広告を審査しているわけではないと説明。FDAは、処方薬広告の最終的なメッセージング(全体または一部)を「承認」することはないと解説する。ただし、FDAは、プロモーションが規制に違反している場合には強制措置を取ることができるという。

非処方薬であるOTCについては、「OTCモノグラフ」に適合した場合は、審査と承認のためにFDAに申請書を提出しなくても販売することができる。「モノグラフ」とは、制酸剤や鎮痛剤などの特定のカテゴリーに属する製品の表示や成分に関する規制基準。モノグラフは、許容される成分、用量、剤形、治療目的、表示などを規定している。OTCモノグラフの制定には、3段階の公的ルールメイキングプロセス(各段階で連邦登録簿への掲載が必要)がある。その結果、OTC治療薬クラスの基準(医薬品モノグラフ)が制定されることになる。既存のモノグラフに適合しないOTC医薬品の製造業者は、上市前にFDAに新薬申請書(NDA)を提出し、審査と承認を受ける必要があるとする。

養補助食品メーカーは、製品が安全で効果的であることを証明したり、製品を製造または販売する前にFDAの承認を得る必要はない。

FDAは処方薬の広告を主に監督し、米国連邦取引委員会(FTC)はOTC医薬品や栄養補助食品の広告を主に監督している。

FDAが処方薬をどのように規制しているかについての誤解は消費者が処方薬の安全性と有効性をどのように評価するかに影響を与える可能性があると説明。処方箋薬の承認と広告に関するFDAの監視についての一般市民の知識を調査。

2014年の調査では、FDAが処方薬を承認していないと誤って考えていた回答者はわずか8%だったが、44%はFDAが極めて効果的な処方薬のみを承認していると誤って考えていた。FDAが用いている実際の基準は、効果の実質的な証拠で、意図した用途に対する薬のリスクを薬の利点が上回るかどうかを検討するものとしている。

22%はFDAが処方薬を承認するのは、重篤な副作用がない場合のみであると誤って考えていた。同じ調査では、回答者の69%がFDAが処方薬の広告を承認しなければならないと誤って考えていた。さらに、26%が非常に効果的な処方薬しか広告できないと誤って考えており、17%が重篤な副作用のない処方薬しか広告できないと誤って考えていたと説明する。

2017年に18歳以上の米国成人1744人を対象とした。FDAの処方薬の監督に関する知識は、これまでの調査結果と一致。ほとんどの回答者(86.1%)はFDAが処方薬を承認していることを知っていた。56.6%は、その薬がリスクよりも大きな利益をもたらす場合にFDAが処方薬を承認していることを知っていた。ほとんどの回答者(75.2%)は、FDAが承認したからといって、その薬がその薬を使用するすべての人の役に立つとは限らないことを知っていた。しかし、「FDAの承認が必ずしもその薬を使用するほとんどの人を助けるとは限らない」と知っている回答者は25.1%にとどまった。約半数(57.1%)が、「FDAの承認が薬を使用する人に害を与えないことを意味しない」と知っており、57.4%が「FDAの承認がその薬が処方された状態を治すことを意味しない」と知っていた。

回答者の多くはDTC処方薬の広告規制におけるFDAの役割についてよくわからないと回答。回答者の31%は、印刷広告の例のようなDTC広告をFDAが承認していると誤って考えていた。広告要素について、リスクステートメントはFDAが承認していると誤って考えている人が41.2%、ベネフィットステートメントはFDAが承認していると誤って考えている人が34.6%、画像やグラフはFDAが承認していると誤って考えている人が21.6%となっていた。

FDAの規制的役割についてより多くの情報を提供。FDAに対する一般の人々の認識にポジティブな影響を与えて、規制に対するポジティブな態度を高めることができるとしている。FDAは現在、FDAが規制する製品についての情報を発信する多面的なアウトリーチプログラムを実施しているという。

米国では、消費者への処方薬の宣伝は合法で普及しているため、この分野における消費者の理解が最も重要と指摘。特にFDAの承認と処方薬広告の監督の分野において、処方薬に関する消費者の理解を高める機会があるとする。利害関係者の協力により組織の信頼性と知名度の向上により利益が生まれるとする。「医薬品の有害な作用または医薬品に関連する諸問題の検出,評価,理解及び予防に関する科学と活動(ファーマコビジランスプログラム)」の有効性を高め、消費者がより良く、より多くの情報に基づいた医療上の意思決定を行えるようにするとする。そうして公衆衛生上の重要な目標を推進することにもなると説明する。

2020年2月、米国研究。

Sullivan HW, Aikin KJ, David KT, Berktold J, Stein KL, Hoverman VJ. Consumer understanding of the scope of FDA’s prescription drug regulatory oversight: A nationally representative survey. Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2020 Feb;29(2):134-140. doi: 10.1002/pds.4914. Epub 2019 Dec 12. PMID: 31833141; PMCID: PMC7325631.

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