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免疫チェックポイント阻害薬治療前の抗菌薬使用は高齢者のがん生存率の悪化につながる、カナダ・トロントのプリンセス・マーガレットがんセンターなどカナダ米研究者からの報告

カナダ、トロントのプリンセス・マーガレット・キャンサー・センターを中心にしたカナダと米国の研究グループは2023年2月24日、65歳以上のがん患者で、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)治療開始前の抗菌薬曝露が全生存期間(OS)を悪化させることを報告した。

論文のアウトラインは次のようになっている。

研究者は2012年6月から2018年10月の間に免疫チェックポイント阻害薬による治療を開始した65歳以上のがん患者で、その治療開始前の抗菌薬の使用が全生存期間に与える影響を評価したというもの。

結果として、免疫チェックポイント阻害薬の治療前1年以内のいずれかの抗菌薬の使用は、全生存期間の悪化と関連(調整ハザード比は1.12)。特にフルオロキノロンへの曝露が関連していた。使用量が増えるほど悪化する傾向が確認された。

研究者らは、腸内細菌叢を変化させて免疫原性を高めることを目的とした介入が、抗菌薬への曝露歴のある場合の転帰改善に役立つ可能性を指摘した。

以上が論文のポイントである。

今回の論文は、免疫チェックポイント阻害剤と身体の免疫システム、腸内細菌叢の関係について述べたものである。腸内細菌叢とは、叢は草むらの意味で、多様な腸内細菌が草むらのように寄り集まって集団を作っている状態を表した言葉である。

微生物を殺す薬である抗菌薬は、腸内細菌叢を破壊し、免疫系を弱める可能性がある。これは、免疫チェックポイント阻害剤の効果を低下させることにつながる。将来的には、腸内細菌叢を外部から導入して免疫機能を強化する方法が研究されるかもしれない。この関係を調査する研究が増えれば、ますます関心が高まるテーマとなるだろう。

参考文献

Eng L, Sutradhar R, Niu Y, Liu N, Liu Y, Kaliwal Y, Powis ML, Liu G, Peppercorn JM, Bedard PL, Krzyzanowska MK. Impact of Antibiotic Exposure Before Immune Checkpoint Inhibitor Treatment on Overall Survival in Older Adults With Cancer: A Population-Based Study. J Clin Oncol. 2023 Feb 24:JCO2200074. doi: 10.1200/JCO.22.00074. Epub ahead of print. PMID: 36827626.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36827626/

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