転移性大腸がん治療の新たな光、パニツムマブの追加が予後改善に寄与

研究の背景と方法

2024年1月30日、「PanaMa phase II trial, AIO KRK 0212」が発表されました。この研究は、RASワイルドタイプの転移性大腸がん患者におけるパニツムマブ添加メンテナンス治療の影響を探求し、最新の次世代シーケンシングと免疫組織化学を用いて遺伝子変異とHER2/neuの過剰発現を調査しました。

研究結果の概要

変異の影響

特定の遺伝子変異がない患者（ハイパーセレクションWT）は、変異がある患者（ハイパーセレクションMUT）よりも治療効果が良好であることが明らかになりました。

治療成績

パニツムマブを加えたメンテナンス治療は、ハイパーセレクションWTの患者において、無進行生存期間（PFS）と全体生存期間（OS）の両方において有意な改善をもたらしましたが、ハイパーセレクションMUTの患者にはその効果が認められませんでした。

意義と展望

この研究結果は、転移性大腸がんの治療における個別化医療の重要性を強調しています。RAS遺伝子だけでなく、他の遺伝子の変異も患者選択の基準に含めるべきであることが示唆されており、特定の遺伝子プロファイルを持つ患者に最も効果的な治療法を提供できるようになり、結果として患者の生存期間を延ばすことができるだろうと期待されています。