STELLANEWS.LIFE(ステラニュース・ライフ)は、医薬品、免疫療法、がん研究の分野における最新の知見をわかりやすく伝えることを目的としたメディアである。常に更新される研究情報から重要な要素を抽出し、臨床現場や研究開発に影響を与え得るテーマを取り上げている。今回紹介するのは、サイトメガロウイルス(CMV)感染歴がメラノーマ患者の免疫チェックポイント阻害薬(ICB)に対する治療応答や毒性発現に影響を及ぼすことを示した報告である。
メラノーマに対するICB治療の効果は個々の免疫背景に依存する。オックスフォード大学の研究チームは、CMV感染歴(IgG陽性)を持つ患者が、sICB治療において有意に生存期間が延長し、irAEの発症率が低いことを報告した。本研究は、CMVが誘導するT細胞の分化と機能変化がICBの免疫応答に影響を与えることを示唆しており、今後の治療選択や毒性管理への活用が期待される。
- 発表元→University of Oxford(Nature Medicine掲載)
- 発表日→2025年4月23日
- 研究の目的→CMV感染歴とメラノーマに対するICB治療効果および毒性との関連を評価
- 対象→341人のメラノーマ患者(うち302人が転移性/切除不能、39人が術後補助療法)
- 主な治療法→ペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)またはニボルマブによるsICB、あるいはイピリムマブ+ニボルマブによる併用治療(cICB)
- 主な所見→CMV陽性患者では、sICBにおける全生存期間(OS)と無再発生存期間(RFS)が延長
- 転写因子の役割→TBX21(T-bet)の高発現が、CMV陽性と同様のCD8+T細胞の細胞傷害性遺伝子群を誘導し、治療応答と相関
- 毒性関連→CMV陽性患者は、グレード3以上のirAE発症率が有意に低く、特に大腸炎および肺炎の発症が抑制
- 疫学的観察→CMV陽性率は一般人口と比較してメラノーマ患者で有意に低く、特にBRAF変異例で顕著