STELLANEWS.LIFE(ステラニュース・ライフ)は、医薬品・公衆衛生に関する最新研究を紹介し、社会全体の健康への理解を深めることを目的としている。本記事では、ウェールズにおける帯状疱疹ワクチン接種と認知症発症率の関連を示した観察研究について紹介する。
2022年に発表された観察コホート研究により、ウェールズで2013年から2020年の間に帯状疱疹(ヘルペス・ゾスター)ワクチンを接種した人は、認知症の発症率が有意に低かったことが明らかになった。研究では、Secure Anonymised Information Linkage(SAIL)データバンクに登録された33万人超の住民データを解析。接種群は非接種群と比較して、認知症のハザード比が0.72(95%信頼区間:0.69〜0.75)と39%のリスク低下が確認された。
- 発表元→University of Edinburgh, Public Health Wales
- 発表日→2022年4月13日
- 対象→ウェールズの70歳以上の一般住民(約33万人)
- 研究期間→2013年〜2020年
- ワクチン→帯状疱疹ワクチン(主にZostavax、一部Shingrix)
- 主な結果→
・帯状疱疹ワクチン接種者の認知症発症リスクは非接種者よりも有意に低下(aHR: 0.72)
・アルツハイマー病(AD):aHR 0.81(95%CI: 0.77〜0.86)
・血管性認知症(VaD):aHR 0.66(95%CI: 0.61〜0.71) - 関連する他疾患への影響→
・脳卒中(aHR: 0.86)
・心筋梗塞(aHR: 0.86)
・股関節骨折(aHR: 0.55)
・全死因死亡率(aHR: 0.58)
・がんには影響なし(aHR: 0.98) - 因果関係の検討→
・帯状疱疹の発症減少が認知症リスク低下の媒介変数ではない可能性
・非特異的な免疫活性化や選択バイアスの影響が指摘されている - 限界点→
・ワクチン接種者がもともと健康寿命が長い可能性(選択バイアス)
・認知症診断の精度や追跡期間の限界も影響の可能性あり
AIによる情報のインパクト評価(あくまで参考として受け取ってください)
★★★★☆(★4つで2番目の評価)
帯状疱疹ワクチン接種と認知症発症リスク低下の関連は、予防的介入としての新たな可能性を示唆している。ただし、選択バイアスの可能性が高く、現時点では因果関係の確定には至らない。将来的なランダム化比較試験が必要とされる。