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大阪公立大学大学院医学研究科の研究グループは、レントゲン画像を撮影部位ごとに分類するAIモデルと、胸部レントゲン画像の撮影方法と画像の向きを同時判定するAIモデルを開発し、大規模データでも高精度な品質管理が可能であることを示した。
今回の記事で伝える情報は次の通り。
概要
レントゲン画像には撮影部位・撮影方法・向きなどのラベル情報が付与されるが、多くは人手入力に依存しており、大規模データセットでは誤ラベルが紛れ込みやすい。
誤ったラベルは、診断支援やAIモデルの学習に悪影響を及ぼすため、品質管理の効率化が重要な課題となっていた。
本研究では、複数施設と公開データを併用した大規模なレントゲン画像コホートから、撮影部位分類用AIモデルと胸部レントゲンの撮影方法・画像向き判定用AIモデルを開発し、高いAUCを達成した。
これにより、ラベルの自動点検や誤情報の早期検出を通じて、医用画像データベースの品質向上と医療安全への貢献が期待される。
詳細
- 発表元→ 大阪公立大学大学院医学研究科 放射線診断学・IVR学
- 発表日→ 2025年11月11日
- 対象分野→ 医用画像(レントゲン)、人工知能(ディープラーニング)、品質管理
- 研究の背景→ レントゲン画像には撮影部位・撮影方向・画像の向きなどのラベルが付くが、人手による登録が中心であり、特に大規模データセットでは誤ラベルが混在しやすい。誤ラベルは診療現場での検索・判断、医用AIの学習・評価に悪影響を与える。
- 開発したAIモデル①(部位分類)→ 頭部・胸部・腹部など、レントゲン画像の撮影部位を自動判定するディープラーニングモデル。約43万枚の多施設・公開データを用いて学習し、学習・調整・テストに分割したうえで、別施設データでも性能検証が行われた。
- 開発したAIモデル②(胸部投影・向き判定)→ 胸部レントゲンを対象に、撮影方法(正面・側面などの投影)と画像の向き(上下・左右)の両方を同時に判定するモデルを構築。約46万枚の胸部レントゲンから学習させた。
- 性能評価→ 部位分類モデルはすべてのクラスでAUC=0.99以上、胸部レントゲンの撮影方法判定と画像の向き判定ではAUC=1.00と極めて高い判別性能を示した。これは正例・負例をほぼ完全に識別できるレベルの性能である。
- 品質管理への効果→ 本研究で用いたデータセットをAIで再点検したところ、3~12%の画像にラベル修正の必要があることが明らかになった。AIが疑わしいラベルを先にリストアップすることで、人手確認の負担を軽減しつつ、重要な誤りを効率的に洗い出せる。
- 医療現場・研究への意義→ 病院内のPACSや大規模画像データベースでAIを用いたラベル監査を行うことで、再撮影の削減や検査記録の整合性向上に寄与し得る。また、AI開発時の学習データに誤ラベルが混入するリスクを早期に検出し、研究の信頼性向上にもつながる。
- 実装状況→ 本研究で構築されたレントゲン画像判定AIは、誰でも利用できるアプリケーションとして一般公開されており、今後さらなる改良や施設間差への対応が予定されている。
- 限界・今後の課題→ 難例画像や画質が悪い画像、特殊な撮影条件への対応は今後の改良テーマであり、施設ごとの撮影プロトコルの違いをどこまで吸収できるかも検証が必要となる。ラベルの「正解」定義には、引き続き専門家の関与が不可欠である。
- 論文情報→ Deep learning models for radiography body-part classification and chest radiograph projection/orientation classification:a multi-institutional study(European Radiology)
DOI:10.1007/s00330-025-12053-7
AIによるインパクト評価
評価(参考): ★★★★☆
短評:多施設・大規模データを用いてラベル自動点検のための実用的なAIモデルを構築し、実データ上で3~12%の誤ラベル検出に結び付けた点は、医用画像AIの土台となるデータ品質の向上に大きく貢献し得る。
ただし、診断アルゴリズムそのものではなく「品質管理インフラ」の位置付けであり、臨床アウトカムの改善効果は今後の運用と検証に依存する段階である。
3言語要約/Multilingual Summaries
🌍 English Summary
Note:AI-assisted summary for reference.
- A research team at Osaka Metropolitan University developed two deep learning models:one for classifying radiographs by body part and another for jointly classifying chest radiograph projection and image orientation.
- Trained on about 430,000 images for body-part classification and about 460,000 images for chest projection/orientation, the models achieved AUC ≥ 0.99 for all body-part classes and AUC = 1.00 for both chest projection and orientation, including tests on external hospital data.
- Retrospective review showed that 3~12% of images required label correction, indicating that these AI models can greatly streamline quality control of large radiology databases and improve the reliability of datasets used for clinical AI research.
🇨🇳 中文摘要
注:以下为AI辅助摘要,仅供参考。
- 大阪公立大学的研究团队构建了两种深度学习模型:其一用于将X线影像按部位(如头部、胸部、腹部等)进行分类,其二专门用于胸部X线影像的投照方法与图像朝向的联合判定。
- 模型分别利用约43万张和约46万张影像进行训练,并在多家医院数据上验证;结果显示,部位分类模型在所有类别上的AUC均≥0.99,而胸部投照方式与图像朝向的判定AUC均达1.00,性能极高。
- 对研究数据集回顾性检查发现,约3~12%的影像标签需要修正,说明该AI系统可显著提高大型影像数据库的质量管理效率,并有助于提升医用AI研究数据的可靠性。
🇮🇳 हिन्दी सारांश
ध्यान दें:यह AI-सहायित संक्षेप है, केवल参考目的 के लिए।
- ओसाका मेट्रोपोलिटन यूनिवर्सिटी की टीम ने दो डीपラーニング मॉडल विकसित किए:पहला X-रे छवियों को身体部位(जैसे सिर, छाती, पेट)के अनुसार分類 करने के लिए, और दूसरा केवल胸部 X-रे के撮影方法 व画像の向き को一 साथ判定 करने के लिए।
- लगभग 4.3 लाख छवियों पर部位分類, और लगभग 4.6 लाख छवियों पर胸部投影/向き判定 के लिए学習 के बाद, सभी部位カテゴリ में AUC ≥ 0.९९ तथा胸部投影と向き判定 के लिए AUC = १.०० प्राप्त हुआ, और別施設データ पर भी高精度 बना रहा।
- डेटासेट की見直し से पता चला कि約 3~१२% छवियों केラベル में修正 की आवश्यकता थी;ऐसे誤ラベル को AI द्वारा自動検出 करने से大規模画像データベース की品質管理 काफी効率ी हो सकती है और医用AI研究 की信頼性 भी बढ़ सकती है।

