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Eli Lillyは2025年9月17日、欧州糖尿病学会(EASD)年次学術集会で、小児および思春期の2型糖尿病患者を対象とした第3相試験SURPASS-PEDSの詳細結果を発表した。この試験は10歳から18歳未満の患者99人を対象に行われ、Mounjaro(一般名チルゼパチド)の有効性と安全性をプラセボと比較した。
試験の結果、Mounjaroは30週時点で主要評価項目のA1C低下においてプラセボに対する優越性を示した。平均ベースライン8.05%から-2.2%の低下を達成し、プラセボ群では0.05%の上昇であった。さらに、副次評価項目では86.1%の患者がA1C 6.5%以下を達成し、BMIも10mg群で平均-11.2%の減少が認められた。
有効性は52週の延長試験でも持続し、血糖コントロールとBMIの改善効果が続いたことが確認された。また、空腹時血糖は-53.5mg/dLの低下を示し、成長期における体格指標に基づく標準化BMIスコアも改善した。
安全性については、成人試験と同様に消化器系の副作用(下痢、悪心、嘔吐、腹痛)が中心で、いずれも軽度から中等度であった。治療中止率は最大6%にとどまり、重篤な低血糖は報告されなかった。低血糖(血糖54mg/dL未満)はMounjaro群で15.4%、プラセボ群で5.9%と報告されたが、他の小児糖尿病試験と同程度であった。
この試験結果は国際誌『The Lancet』にも掲載され、Lillyは本結果をもとにMounjaroの小児・思春期2型糖尿病への適応拡大申請を各国規制当局に提出済みである。
- 発表元→Eli Lilly and Company
- 発表日→2025年9月17日
- 対象疾患→小児・思春期の2型糖尿病(10歳~18歳未満)
- 治療候補→チルゼパチド(商品名Mounjaro、週1回皮下注射)
- 試験名称→SURPASS-PEDS(第3相試験、30週+52週延長)
- 主要結果→A1C低下:-2.2%(プラセボ群は+0.05%)
- 副次結果→86.1%がA1C 6.5%以下達成、BMIは最大-11.2%減少
- 副作用→消化器症状(下痢、悪心、嘔吐、腹痛)、軽度から中等度、低血糖は15.4%で報告
- 今後の展開→規制当局に小児・思春期での適応拡大申請済み
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