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エボロクマブ(レパーサ)、心血管疾患の一次予防で主要評価項目達成

STELLANEWS.LIFE(ステラニュース・ライフ)は、科学や医薬品分野の最前線で生まれる成果を、持続可能な形で読者に届けることを目的とする専門メディアである。日々更新される研究成果の中から、社会的・臨床的意義の高いトピックを厳選し、専門家の視点を交えて紹介している。今回紹介するのは、Amgenが報告した心血管疾患予防に関する国際共同試験の成果である。

心血管疾患は依然として世界の主要な死因であり、その多くが初発イベントである。Amgenが実施した第3相VESALIUS-CV試験は、これまでの既往を有する二次予防領域から一歩進み、心筋梗塞や脳卒中の既往を持たない高リスク患者を対象に、PCSK9阻害薬エボロクマブ(商品名レパーサ)の有効性を検証したものである。本試験の結果、エボロクマブを標準治療(スタチンなど)に追加することで、主要心血管イベントの発生率が統計学的および臨床的に有意に低下したことが確認された。

  • 発表元→ Amgen(米国)
  • 発表日→ 2025年10月2日
  • 対象疾患→ 動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)および高リスク糖尿病患者(一次予防集団)
  • 研究の背景→ 従来のFOURIER試験で、エボロクマブは既往を有する患者での心血管イベント減少効果が確認されていた。今回は一次予防への適応可能性を検証。
  • 試験デザイン→ 第3相試験(VESALIUS-CV)。多施設共同・無作為化・二重盲検・プラセボ対照。対象は約1万2000例。
  • 一次エンドポイント→ 冠動脈疾患による死亡、心筋梗塞、虚血性脳卒中までの時間(統計学的に有意に改善)
  • 二次エンドポイント→ 冠動脈疾患死亡、心筋梗塞、虚血性脳卒中、虚血性血行再建術までの時間(有意に改善)
  • 主要結果→ 両主要評価項目で統計学的・臨床的有意差を認めた。中央値約4.5年の追跡期間中に新たな安全性シグナルは観察されなかった。
  • 安全性→ 新たな有害事象の報告なし。最も多く報告された副作用は鼻咽頭炎、上気道感染、注射部位反応などで、いずれも軽度~中等度。
  • 臨床的含意→ 高リスク患者における一次予防としてのLDL-C低下療法の新たな選択肢となる可能性を示唆。心血管疾患予防戦略の転換点となり得る。
  • 制限事項→ 対象は主に欧米中心の集団であり、地域差や民族差の検証が今後の課題。
  • 次のステップ→ 2025年11月8日に米国心臓協会(AHA)年次学術集会で詳細結果を発表予定。査読誌への投稿準備中。

AIによる情報のインパクト評価(あくまで参考として受け取ってください):

★★★★☆

心血管疾患の一次予防領域で初めてPCSK9阻害薬の有効性が確認された点で臨床的意義は高い。ただし、コスト面と適応集団の妥当性については今後の検証が必要である。

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