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Baxdrostat、耐性高血圧の第3相で主要評価項目達成、アルドステロン経路標的薬

STELLANEWS.LIFE(ステラニュース・ライフ)は、心腎代謝領域(CVRM)の最新研究動向を追う。今回は、アストラゼネカが開発を進める新規アルドステロン合成酵素阻害薬「Baxdrostat(バクスドロスタット)」の第3相試験「Bax24試験」での成功を紹介します。

  • 【要点①】Baxdrostatが耐性高血圧症患者で主要評価項目を達成
  • 【要点②】24時間平均収縮期血圧をプラセボ比で統計学的に有意かつ臨床的に大幅に低下
  • 【要点③】朝方の血圧上昇リスク時間帯でも有効性を維持

2025年10月7日、アストラゼネカ(AstraZeneca)は、第3相Bax24試験において、耐性高血圧症(rHTN)患者を対象に開発中の新規アルドステロン合成酵素阻害薬Baxdrostat(バクスドロスタット)が主要評価項目を達成したと発表しました。

試験では、標準治療を継続中の患者にBaxdrostat 2mgまたはプラセボを1日1回12週間投与し、24時間自由行動下血圧測定(ABPM)による平均収縮期血圧(SBP)変化量を比較。結果、Baxdrostat群で統計学的に有意かつ臨床的に意味のあるSBP低下を示しました。特に早朝の時間帯においても血圧低下効果が持続しており、心血管イベントの高リスク時間帯における有効性が確認されました。

また、安全性は良好で、これまでのBaxHTN試験と一貫したプロファイルを示し、新たな懸念は認められませんでした。

ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ医学部のブライアン・ウィリアムズ教授は、「Bax24の結果は、1日1回のBaxdrostat投与が早朝を含む24時間にわたり血圧を大幅に低下させることを示しており、治療抵抗性高血圧症の治療戦略を変える可能性がある」とコメントしました。

アストラゼネカのバイオファーマシューティカルズR&D担当エグゼクティブバイスプレジデント、シャロン・バー氏は、「Baxdrostatはアルドステロン合成酵素を高選択的に阻害し、半減期約30時間という特性により持続的な降圧を実現する。耐性高血圧症や慢性腎臓病、心不全予防など、アルドステロン関連疾患への応用を加速していく」と述べました。

詳細データは、2025年11月に開催される米国心臓協会(AHA)学術集会のLate-Breakingセッションで発表される予定です。

Baxdrostatは、アルドステロン合成酵素(CYP11B2)を選択的に阻害する経口小分子薬で、血中アルドステロン値を低下させつつ、コルチゾール値への影響を最小限に抑えます。半減期は約26〜30時間で、持続的な降圧が期待されます。

アストラゼネカは2023年にCinCor Pharma社を買収し、Baxdrostatの開発権を取得。現在、同薬は原発性アルドステロン症慢性腎臓病(CKD)心不全予防など複数の疾患を対象に第3相試験が進行中です。

AIによる臨床インパクト評価(参考):

★★★★★

Baxdrostatは、アルドステロン経路を標的とした初の経口薬として、既存治療でコントロール困難な高血圧症に対し新たな治療選択肢を提示します。24時間にわたる持続的降圧と朝方血圧上昇抑制の両立は、心血管リスク低減に直結する可能性があります。

参考文献

AstraZeneca. “Baxdrostat met the primary endpoint in Bax24 Phase III trial in patients with resistant hypertension.”
https://www.astrazeneca.com/media-centre/press-releases/2025/baxdrostat-met-the-primary-endpoint-in-bax24-phase-iii-trial-in-patients-with-resistant-hypertension.html

Flack JM, et al. “Efficacy and Safety of Baxdrostat in Uncontrolled and Resistant Hypertension.” N Engl J Med. 2025; Aug 30. doi:10.1056/NEJMoa2507109.

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