STELLANEWS.LIFE(ステラニュース・ライフ)は、科学や医薬、バイオテクノロジーに関する最先端の研究成果をわかりやすく伝える専門メディアである。日々発表される膨大な医学情報の中から、医療の未来に関わる重要なトピックを選び、信頼できる情報源をもとに構成している。今回紹介するのは次の通り。
- Johnson & Johnsonが膀胱がん治療に関する第2b相試験SunRISe-1の12カ月データを米国泌尿器科学会(AUA)年次総会で発表
- TAR-200の単剤療法がBCG非応答性の高リスク非筋層浸潤性膀胱がん(HR-NMIBC)において高い完全奏効率を示す
- 膀胱温存の可能性を示す治療オプションとしてTAR-200の治療効果に注目が集まる
Johnson & Johnsonは、2025年4月26日から29日に米国ネバダ州ラスベガスで開催される米国泌尿器科学会(AUA)年次総会にて、膀胱がん治療における新たな知見を発表する。発表内容には、TAR-200(内腔投与型ゲムシタビン放出システム)の第2b相SunRISe-1試験コホート2における12カ月の持続奏効期間(DOR)データが含まれる。対象はBCG(バシルス・カルメット・ゲラン)非応答性の高リスク非筋層浸潤性膀胱がん(HR-NMIBC)で、上皮内がん(CIS)を伴う症例である。
- 発表元→Johnson & Johnson
- 発表日→2025年4月21日
- 研究の背景→BCG治療に失敗したHR-NMIBC患者においては標準治療がほとんど変化しておらず、膀胱全摘などの侵襲的手術が一般的である
- 研究の目的→TAR-200の単剤療法により膀胱温存を可能にし、かつがんの完全奏効を目指す
- 研究の手法→第2b相SunRISe-1試験にてTAR-200をBCG非応答性HR-NMIBC患者に投与し、12カ月間の完全奏効および持続奏効を評価
- 研究の結果→コホート2では、TAR-200による完全奏効率が高く、12カ月にわたり奏効が持続。コホート4では乳頭状がんのみの患者にも良好な初期結果を示す
- 副作用・安全性→副作用に関する詳細なデータは未発表だが、局所投与による忍容性の高さが報告されている
- 発表のポイント→TAR-200は外来診療で短時間に膀胱内へ留置されるシステムであり、日常生活への影響が少なく、膀胱温存を可能とする治療選択肢となりうる
- 今後の展望→現在進行中の第3相SunRISe-5およびMoonRISe-1試験により、治療の確立が期待される
参考文献
Johnson & Johnson unveils highly anticipated and potential practice-changing data in bladder cancer treatment at AUA
https://www.jnj.com/media-center/press-releases/johnson-johnson-unveils-highly-anticipated-and-potential-practice-changing-data-in-bladder-cancer-treatment-at-aua