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AlphaMedix、第2相で奏効、GEP-NETの標的α線療法(TAT)の可能性

STELLANEWS.LIFE(ステラニュース・ライフ)は、がん領域の放射線医薬研究の進展を追っています。今回は、サノフィとオラノ・メッドが共同開発中の標的アルファ療法「AlphaMedix(アルファメディクス)」の第2相試験結果について紹介します。

  • 【要点①】AlphaMedixが消化管・膵神経内分泌腫瘍(GEP-NET)で第2相試験の主要評価項目をすべて達成
  • 【要点②】PRRT未治療および既治療の両患者群で有効性を確認、臨床的に意味のある反応率と生存期間延長を示す
  • 【要点③】放射性同位体鉛212を用いた新世代「標的アルファ療法(TAT)」の可能性を実証

2025年10月8日、サノフィ(Sanofi)オラノ・メッド(Orano Med)は、放射性同位体鉛212(212Pb)を利用した標的アルファ療法(TAT)製剤AlphaMedix(アルファメディクス)が、第2相試験ALPHAMEDIX-02試験において全主要評価項目を達成し、臨床的に有意な効果を示したと発表しました。

この試験では、切除不能または転移性のソマトスタチン受容体(SSTR)陽性消化管・膵神経内分泌腫瘍(GEP-NET)患者を対象とし、ペプチド受容体放射性核種療法(PRRT)未治療群と既治療群に分けて評価。両群で客観的奏効率(ORR)無増悪生存期間(PFS)全生存期間(OS)など、主要および副次評価項目で臨床的に意義のある改善が認められました。

AlphaMedixは安全性も良好で、両群で一貫した忍容性を示しました。主な有害事象は管理可能であり、新たな安全性シグナルは報告されていません。

オラノ・メッド最高医療責任者 フォルカー・ワーグナー医学博士は、「AlphaMedixの結果は、鉛212を用いたプラットフォームの大きな前進を示すものであり、がん細胞に強力なアルファ線を直接送達することで新しい治療選択肢を提供できる可能性がある」と述べました。

サノフィ開発部門グローバル責任者 クリストファー・コルシコ医学博士も「AlphaMedixは治療困難ながん患者に対して精密な治療を実現する標的アルファ療法の可能性を明確に示した。今後、規制当局との協議を進め、GEP-NET患者への早期提供を目指す」とコメントしています。

AlphaMedixは2024年2月に米国食品医薬品局(FDA)からブレークスルーセラピー指定を受けており、今回の第2相結果をもとに第3相試験および承認申請に向けた当局との協議が予定されています。

本試験の詳細結果は、2025年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)年次学会で発表される予定です。

ALPHAMEDIX-02試験の概要

AlphaMedixと標的アルファ療法(TAT)について

AlphaMedix(212Pb-DOTAMTATE)は、放射性同位体鉛212(Lead-212)を用いたソマトスタチン受容体標的アルファ療法です。アルファ粒子は飛程が短く、高い線エネルギーを持つため、周囲の正常組織への影響を抑えながら腫瘍細胞を選択的に破壊することができます。

この特性により、従来のβ線放射性核種治療(PRRT)に抵抗性を示す患者にも有効である可能性があります。

AIによる臨床インパクト評価(参考)

★★★★★

AlphaMedixは、α線を用いた新世代の放射線内用療法として、GEP-NETなどの難治性腫瘍治療に革命をもたらす可能性があります。PRRT抵抗例にも有効性を示した点は画期的であり、次世代核医学治療の中心的存在となる可能性があります。

参考文献

Sanofi. “AlphaMedix (212Pb-DOTAMTATE) achieved all primary efficacy endpoints in phase 2 study, demonstrating clinically meaningful benefits in patients with gastroenteropancreatic neuroendocrine tumors.”
https://www.sanofi.com/en/media-room/press-releases/2025/2025-10-08-05-00-00-3163053

ClinicalTrials.gov: NCT05153772 — ALPHAMEDIX-02 Study.

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