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LGMD2I/R9の遺伝子治療AB-1003中間結果、初の第1/2相第2コホート進行

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STELLANEWS.LIFE(ステラニュース・ライフ)は、遺伝子治療と希少疾患の臨床開発を追う。今回は、バイエル傘下のAskBio(アスクバイオ)が発表した肢帯型筋ジストロフィー2I/R9(LGMD2I/R9)を対象とする遺伝子治療薬AB-1003の第1相/第2相試験中間結果を紹介します。

  • 【要点①】AB-1003はAAVベクターを用いた遺伝子治療薬で、FKRP酵素機能の回復を目的
  • 【要点②】第1コホート(5例)で投与後52週間にわたり重篤な有害事象なし
  • 【要点③】安全性が確認され、第2コホートへの移行をデータ安全性モニタリング委員会が承認

2025年10月10日、バイエルAGの完全子会社であるAskBio Inc.(本社:米国ノースカロライナ州リサーチ・トライアングル・パーク)は、肢帯型筋ジストロフィー2I/R9(LGMD2I/R9)を対象とする遺伝子治療AB-1003第1相/第2相臨床試験(LION-CS101)の第1コホートにおける中間安全性データを発表しました。結果は、オーストリア・ウィーンで開催された第30回世界筋疾患学会(World Muscle Society)年次国際会議で報告されました。

第1コホートでは5人の参加者が単回の静脈内投与(AB-1003またはプラセボ)を受け、治療後52週間にわたり安全性を評価。その後、計4年間の長期追跡フェーズに移行予定です。評価項目には有害事象のモニタリング、血液検査、身体検査、心電図および心エコー検査が含まれます。

解析の結果、用量制限毒性や重篤な有害事象は報告されず、発現した有害事象は頭痛、転倒、悪心などの軽度〜中等度の症状にとどまりました。また、3例で一過性の肝酵素上昇(トランスアミナーゼ上昇)がみられましたが、コルチコステロイド投与量を調整することで速やかに正常化しました。

これらの結果を受け、データ安全性モニタリング委員会(DSMB)は第2コホートへの移行を推奨。試験は現在進行中で、米国6施設で最大14例を登録予定です。

AskBioのチーフメディカルオフィサーであるキャンウェン・ジャン博士は「初期の安全性データは有望であり、AAVを介した遺伝子導入によってFKRP機能を回復させ、病勢の進行を抑制する可能性が示された」と述べています。

AIによる情報のインパクト評価(参考情報):

★★★★☆

LGMD2I/R9は極めて稀少で、根本的治療法が存在しない筋ジストロフィーです。AAVベクターによるFKRP遺伝子補充療法が安全性を示したことは、神経筋疾患領域における遺伝子治療の実現に向けた重要な進展といえます。

参考文献

Bayer AG / AskBio Inc. “AskBio Presents Interim Safety Results from Phase 1/Phase 2 LION-CS101 Clinical Trial of AB-1003 in Participants with Limb-Girdle Muscular Dystrophy 2I/R9.”
https://www.bayer.com/media/en-us/askbio-presents-interim-safety-results-from-phase-1phase-2-lion-cs101-clinical-trial-of-ab-1003-in-participants-with-limb-girdle-muscular-dystrophy-2ir9/

Passalacqua, C. et al. Interim Safety Results from a Phase 1/2 Investigational Gene Therapy Study Evaluating AB-1003 in Participants with LGMD2I/R9. World Muscle Society 2025.

NIH Rare Diseases Database: Autosomal recessive limb-girdle muscular dystrophy type 2I.

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