CSL社は2023年3月1日、遺伝性血管性浮腫(HAE)の新しい月1回投与治療薬で、活性化第XII因子阻害抗体ガラダシマブの第3相試験の詳細がThe Lancet誌に発表されたことを報告した。
プレスリリースのアウトラインは次の通り。
本試験では、ガラダシマブを毎月注射することにより、患者さんが経験するHAE発作の回数が、プラセボ投与群に比べて有意に減少することが確認された。また同薬は良好な安全性プロファイルを有し、6カ月間の試験期間中、持続的な有効性が確認された。
CSLは今年後半にガラダシマブの承認申請を行う予定である。
ポイントは以上の通り。
以前の記事で伝えたように、遺伝性疾患は、その人が一生持ち続け、継続的な治療が必要な疾患である。HAEもその一つで、体にむくみが生じ、日常生活に支障をきたすことがある。しかし、月に1回服用することで、HAEの症状を予防できる新薬が開発された。これは、HAEの患者さんがより普通の生活を送れるようになるかもしれないということで、良いニュースとなる。研究者たちは、遺伝性疾患を持つ人々を助けるために、新しい薬の研究開発を続けている。
なおHAEの治療薬としては、ブラジキニンB2受容体拮抗薬のイカチバント(商品名フィラジル)、カリクレイン阻害薬のラナデルマブ(同タクザイロ)、エカランチド、ベロトラルスタット、精製ヒトC1エステラーゼ阻害剤のコネスタットアルファ、乾燥濃縮人C1-インアクチベーター(同ベリナート)などがある。
ガラダシマブは従来の薬とは異なり、浮腫につながる反応を止める新しい作用を持つ。従来と異なる治療手段が誕生することになり、病気の人の痛みや不快感を軽減することが容易になると想定される。
参考文献
The Lancet Publishes Pivotal Phase 3 Data on CSL’s First-in-Class Garadacimab for HAE
https://newsroom.csl.com/2023-03-01-The-Lancet-Publishes-Pivotal-Phase-3-Data-on-CSLs-First-in-Class-Garadacimab-for-HAE