STELLANEWS.LIFEは、先端医療研究の現場から生まれる革新的な成果を紹介し、読者に科学の最前線を届けている。今回注目するのは、東京慈恵会医科大学が発表した、子宮内での腎臓移植とその機能維持に関する研究成果である。
- 胎児期に腎臓を子宮内胎仔に移植し、出生後に尿を150日間継続的に産生することを実証
- マウス腎臓をラット胎仔に移植し、異種間でも腎臓が良好に発育することを確認
- ポッター症候群などの重度腎障害胎児に対する治療法開発への道を切り拓く成果
東京慈恵会医科大学の研究グループは、胎児期に移植された腎臓が出生後も機能し続けることを、世界で初めて実証した。これは、ポッター症候群のような致死的な腎疾患を抱える胎児の治療法開発において画期的な前進である。
本研究では、ラットの胎仔腎臓をGFPで可視化し、別の子宮内のラット胎仔に移植。その後、出生した個体の体内で腎臓が正常に発育し、最大150日間にわたり尿を産生した。この持続期間は、げっ歯類の寿命を考慮すれば、ヒト新生児の透析開始までの時間的ギャップを埋めるに十分であると評価されている。
さらに、異種間での腎臓移植にも成功。マウス由来の胎仔腎臓をラット胎仔に移植し、免疫拒絶なく良好に発育することを確認した。この成果は、免疫寛容状態にある胎児期における移植の有利性を示すものであり、将来的にはヒトへの応用も視野に入る。
現在、ヒトと同等のサイズを持つブタ胎仔を用いた研究が進められており、非ヒト霊長類への移植によるさらなる臨床応用の検討も始まっている。これは、移植医療や再生医療の枠を超えた、日本発の異種移植技術として注目を集めている。
- 発表機関→東京慈恵会医科大学、国立成育医療研究センター
- 発表日→2025年3月28日
- 研究の目的→ポッター症候群など重度腎疾患を持つ胎児の救命を目指した異種間移植技術の確立
- 研究の背景→腎臓が欠如する胎児では、羊水不足から肺の低形成が生じ、高い死亡率が課題となっていた
- 実験手法→GFP標識ラット胎仔腎臓を針で別胎仔に移植し、出生後の成長・尿産生を観察
- 主な成果→ラット間およびマウス-ラット間での胎仔腎臓移植に成功し、最大150日間の尿産生を確認
- 免疫学的利点→胎児期は免疫系が未熟なため、拒絶反応が起こりにくい移植環境であると示唆
- 臨床応用に向けた取り組み→ブタ胎仔を用いたヒト相当サイズでの移植実験、非ヒト霊長類での検証へ進行中
- 論文掲載→Communications Biology 第8巻(2025年3月3日オンライン公開)
参考文献
Communications Biology, Volume 8, Pages 349 (2025年3月3日オンライン公開)
https://rdcu.be/eb0bI
東京慈恵会医科大学プレスリリース
https://www.jikei.ac.jp/press/detail/?id=33669
