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レンビマとキイトルーダの併用、子宮内膜がんで5年生存率を2倍以上に延長──KEYNOTE-775試験の長期解析結果

STELLANEWS.LIFE(ステラニュース・ライフ)は、科学・医療・ライフサイエンス分野の研究や臨床成果を中立的に伝えるニュースメディアである。エーザイ株式会社とMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA(北米以外ではMSD)は、エーザイ創製のチロシンキナーゼ阻害剤「レンビマ(レンバチニブ)」と抗PD-1抗体「キイトルーダ(ペムブロリズマブ)」の併用療法が、プラチナ製剤による前治療歴を有する進行子宮内膜がんにおいて、化学療法と比較し長期に持続する5年間の全生存(OS)ベネフィットを示したことを発表した。
今回の記事で伝える情報は次の通り。

この解析は臨床第Ⅲ相309/KEYNOTE-775試験に基づくもので、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)2025年年次総会で発表された。
試験では、プラチナ製剤治療歴のある進行子宮内膜がん患者827人を対象に、「レンビマ+キイトルーダ」併用群(411人)と、医師選択による化学療法群(ドキソルビシンまたはパクリタキセル、416人)を比較した。

5年間の主要結果

  • pMMR集団(697例):
    • 5年全生存率:併用療法16.7% vs 化学療法7.3%
    • OS中央値:18.0カ月 vs 12.2カ月(HR=0.70; 95%CI: 0.60–0.83)
    • PFS中央値:6.7カ月 vs 3.8カ月(HR=0.61; 95%CI: 0.52–0.71)
    • 5年無増悪生存率:6.3% vs 2.1%
  • 全体集団(dMMR含む827例):
    • 5年全生存率:併用療法19.9% vs 化学療法7.7%
    • OS中央値:18.7カ月 vs 11.9カ月(HR=0.66; 95%CI: 0.57–0.77)
    • PFS中央値:7.3カ月 vs 3.8カ月(HR=0.61; 95%CI: 0.53–0.70)
    • 奏効率:33.8% vs 14.4%
  • dMMR集団(130例):
    • 5年全生存率:36.5% vs 9.8%
    • OS中央値:31.9カ月 vs 8.6カ月
    • PFS中央値:14.8カ月 vs 3.7カ月
    • 奏効率:41.5% vs 12.3%

安全性

治療関連有害事象(TRAEs)は、併用群97.3%、化学療法群93.8%で発現。
併用群では40.1%がいずれかの薬剤を中止(両剤中止は16.0%)した。
主な副作用(発現率20%以上)は高血圧(61.8%)、甲状腺機能低下症(55.7%)、下痢(43.3%)、悪心(40.1%)、食欲減退(37.9%)など。
5年フォローアップでも新たな安全性シグナルは確認されず、既報と同一のプロファイルを示した。

臨床的意義

治験責任医師Vicky Makker博士(Memorial Sloan Kettering Cancer Center)は、
「pMMR腫瘍では免疫療法単独の有効性が限定的だが、レンビマ+キイトルーダの併用は長期的な生存改善をもたらし、
治療選択肢として確固たる地位を築いた」と述べている。

MSDのGregory Lubiniecki博士は、「この5年データは、進行子宮内膜がんに対する持続的ベネフィットを示し、
女性がん領域における治療進歩の一里塚」と強調した。

試験概要

  • 試験名:臨床第Ⅲ相309/KEYNOTE-775試験(NCT03517449)
  • 対象:プラチナ製剤前治療歴を有する進行子宮内膜がん患者827人
  • デザイン:非盲検・無作為化・実薬対照試験
  • 投与方法:
    • レンビマ:20mg/日(経口)
    • キイトルーダ:200mg/3週ごと静脈内投与(最大35サイクル)
  • 主要評価項目:全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)
  • 副次評価項目:奏効率(ORR)、安全性

AIによる情報のインパクト評価(参考)

★★★★☆

本試験は、進行子宮内膜がんにおける「チロシンキナーゼ阻害剤+免疫チェックポイント阻害薬」の併用療法で、
これまで最も長期となる5年フォローアップデータを報告。
生存率の持続的改善を確認し、がん免疫治療の標準治療体系における位置付けを一層強化する結果となった。

参考文献

エーザイ株式会社・Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA.
「レンビマ」と「キイトルーダ」の併用療法が進行子宮内膜がんにおいて5年間のサバイバルベネフィットを示す(KEYNOTE-775試験).
2025年10月20日発表.

https://www.eisai.co.jp/news/2025/news202573.html

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