嫌気的な発酵はグラスサイレージ中の肝蛭メタセルカリア除去につながるとの報告。

肝蛭は反芻動物の畜産業において重要な寄生虫。肝蛭のメタセルカリアは中間宿主のヒメモノアラガイなどの貝類から排出されて、植物に付着。牛などに植物ごと捕食されて感染。牧草から作られるサイレージの中で肝蛭がどう存在し、感染につながるかはほとんど分かっていない。

研究グループは、サイレージを発酵させ肝蛭の生存を検証。乾物比率も変えて実験している。嫌気性発酵をさせると、密封から2週間で肝蛭の生存は確認されなかった。好気性の変敗を進めた場合には、乾物比率が高まるほど、肝蛭の生存期間は短くなった。

こうした実験を通して研究グループは、サイレージは嫌気性発酵により除去でき、変敗では乾物比率と生存期間が反比例すると指摘。牧場の寄生虫管理の参考にできると説明している。

2020年8月英国研究。

John BC, Davies DR, Howell AK, Williams DJL, Hodgkinson JE. Anaerobic fermentation results in loss of viability of Fasciola hepatica metacercariae in grass silage [published online ahead of print, 2020 Aug 17]. Vet Parasitol. 2020;285:109218. doi:10.1016/j.vetpar.2020.109218

獣医学

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執筆/編集/審査監修/AI担当

星 良孝(ほし・よしたか)
ステラ・メディックス代表/ 獣医師 ジャーナリスト。日経BP、エムスリーなどに所属し、医療や健康、バイオなどの分野を取材。

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