新型コロナウイルス感染症時代のワクチンへの躊躇として、過去の教訓を踏まえた考察が報告されている。「天然痘、ポリオ、黄熱病などの病気は、かつては世界の多くの地域で何百万人もの死亡や障害を引き起こしていたことを忘れがち」と指摘。病気から開放されたのはワクチンのおかげであると強調する。2020年7月~8月に実施された調査によると、南アフリカ人の36%がCOVID-19ワクチンの接種に消極的であるほか、エチオピアの6%、コンゴ民主共和国の41%までアフリカの中で幅があると紹介。ワクチンの安全性や有効性への懸念があると説明する。
高所得国で行われた研究では、ワクチン躊躇につながる主な個人レベルの決定要因としては、信頼性(confidence)、状況への満足度(complacency)、利便性(制約の有無、convenience or constraints)、リスク計算(calculation)、集団的責任(collective responsibility)への考え方の5つがあると示されていると指摘。5Cモデルと称されている。信頼性はワクチンの有効性や安全性への信頼の有無。状況への満足度は、感染症のリスクが低いと見なされていた場合に、ワクチン接種の必要性を感じられないこと。利便性および制約は構造的、心理的な障壁を意味しているとしている。リスク計算は損得計算。集団的責任は、集団免疫によって他者を保護しようという姿勢。アフリカでも一般化できるかは不明だとする。
ワクチン接種をためらう原因となる2つの異なる要因がからみあう、「新自由主義的論理」と「社会的排除」の理解を求めている。新自由主義的な論理は、善良で責任を持つ個人は、自分自身で健康のリスクを評価して、根拠を求め、疑問を持ち、積極的に回避、管理、結果は引き受けるという考え方を持つもの。集団的な責任や公衆衛生とは相反する部分があるとする。社会的な排除は、政府と市民との関係性の破壊。疎外されたものがワクチン接種に不信感を抱き、予防接種がもたらす時間と機会のコストを理由に予防接種を避けるようになる。
ワクチン接種を促すための対策を立てるために役に立つと指摘。2021年3月、南アフリカ、ニジェール見解。
Wiysonge CS, Ndwandwe D, Ryan J, Jaca A, Batouré O, Anya BM, Cooper S. Vaccine hesitancy in the era of COVID-19: could lessons from the past help in divining the future? Hum Vaccin Immunother. 2021 Mar 8:1-3. doi: 10.1080/21645515.2021.1893062. Epub ahead of print. PMID: 33684019.