世界中の子どもの4~8%が罹患していると言われる注意欠陥・多動性障害(ADHD) の治療にバーチャルリアリティを活用したシリアスゲームが役立つ可能性がありそうだ。
 スペインの研究グループが、モバイルヘルス専門誌『JMIR Serious Games』で2021年8月に発表した。

「マルチモーダル療法」を改善 

 注意欠陥・多動性障害(ADHD)は、世界中の子どもの4~8%が罹患していると言われており、治療法として複数の療法を組み合わせた「マルチモーダル(集学的)」な治療法が選択されている。ADHDに対するマルチモーダルな介入は、シリアスゲームを介した治療など、新しい治療法を取り入れることで改善される可能性がある。
 このたび、スペインの研究者グループが、ADHDの中核的な症状や実行機能障害に関連する認知トレーニングのためにバーチャルリアリティのシリアスゲーム「The Secret Trail of Moon(TSTM)」を開発し、そのユーザビリティを調査した。

 ユーザビリティ調査では、無作為化比較臨床試験のユーザビリティ初期段階(プレインクルージョン)でTSTMをテストした37人の子どもと青年を対象に、TSTMの有効性を検証した。一度目の調査ではADHD患者間(ADHD複合サブタイプと不注意サブタイプ)の比較、2度目の調査ではゲームの頻度が高い人と低い人の比較が実施され、カイ二乗検定が使われた。調査にはIBM製のSPSS version 20 for Macintoshを使用した。

8割以上に好評

 TSTM をプレイすることを気に入った参加者は37人中31人(86%)で、TSTM を継続してプレイしたいと回答した参加者は 37人中30人(83%)だった。一方、37人中5人(14%)の参加者が、めまいや乗り物酔いを感じたと回答した。
ADHD複合サブタイプと不注意サブタイプ間の比較、およびゲームをよくする人としない人の比較は、統計的に有意な差は見られなかった。
結論として、TSTMのようなシリアスゲームは、現在のADHD治療のマルチモーダルアプローチを補完する可能性があることが判明した。

games.jmir.org

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執筆/編集/審査監修/AI担当

星 良孝(ほし・よしたか)
ステラ・メディックス代表/ 獣医師 ジャーナリスト。日経BP、エムスリーなどに所属し、医療や健康、バイオなどの分野を取材。

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