パーキンソン病患者への医療サービスを提供するための遠隔・分散型手法の必要性が高まっており、重大な症状をモニターするための追加ツールの重要性が高まっている。ウェアブル技術と遠隔医療の活用は、このニーズに応えることができそうだ。
カナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学オカナガン校の研究グループが発表し、『Parkinsonism & Related Disorders』が2021年7月に掲載した。
ウェアラブルデバイスを遠隔医療に活用
ウェアラブル・ヘルス・テクノロジーは、心身の健康を増進したいと願う人々に大きな人気を博している。運動量、睡眠パターン、消費カロリー、心拍数など、あらゆることをウェアラブルデバイスで追跡することができる。また、この技術がもたらすタイムリーで正確なデータは、バーチャル・ケアを利用して複雑な健康状態の患者を治療する医師にも極めて価値の高いものだ。
カナダ、ブリティッシュ・コロンビア州ブリティッシュ・コロンビア大学オカナガン校を拠点とするSouthern Medical Program (SMP)では同州内陸部の遠隔地や農村部に居住するパーキンソン病の患者に日常的に遠隔遠隔治療を利用してきたが、患者の一日の動きの変化を把握するためのウェアラブルデバイスの活用研究に着手、従来の対面診療で症状を記録する方法と、ウェアラブルセンサーを用いた遠隔診療でフォローアップを行う方法を比較した無作為化試験行った。
研究グループは、震えや不随意運動を伴うパーキンソン病患者を募集し、遠隔医療やデバイスを用いた健康管理を行うグループと、従来の対面診療を行うグループに分けた。前者のグループに対してはウェアラブルデバイスを着用させて、起きている間の不随意の動きを追跡した。このデータはパーキンソン病の症状を感じるピーク時を特定するために、遠隔医療の予約時に確認された。
震えの症状に関するタイムリーで正確なデータで遠隔医療をサポート
その結果、ウェアラブルデバイスからの正確で信頼性の高いデータを統合することで、患者の薬を調整し、一日中の症状をより良く管理することができることが判明した。さらに、この研究の一環として、患者は標準化されたパーキンソン病QOL指数から一連の質問を受けた。両群とも、6週間後、3カ月後、6カ月後の間隔で評価が行われた。全体として、ウェアラブルデバイスを使用した患者は、専門的な治療を受けるための遠隔医療予約と組み合わせて、ポジティブな経験と健康上の成果を報告している。
遠隔医療にウェアラブル技術を活用することで、患者の生活の質を向上させ、移動に伴うストレスやコストの増加を抑えることができることは間違いなさそうだ。
https://www.prd-journal.com/article/S1353-8020(21)00253-4/fulltext