ワクチン接種など重要な健康の課題は政治的なコンセンサスを得るために使われるべきではないとする研究が報告されている。
イタリアでは主要な予防接種の接種率が低下し、麻疹の大規模なアウトブレイクが発生していたため、2017年に対応策として、イタリア政府はワクチンを接種していない子どもの家族に罰則を導入し義務的な予防接種の回数を拡大していた。2018年の総選挙の際に、予防接種政策が政治的な議論の対象となり、反対派がワクチン懐疑論を煽っているという論争も起きた。2018年に発足した新政府(元野党)は一時的に罰則を緩和し、柔軟性のある形態を導入した。
ツイッターの書き込みを分析して、ワクチン接種への立場の変化を分析。ツイートのうち、70.0%がワクチン接種に賛成、16.4%が反対、13.6%がどちらともいえないという結果。2018年春の政権交代に併せて混乱が起きたことが分かった。
研究グループは、誤った情報やワクチン接種の忌避を避けようとする強い政権の不在による悪影響が起こるとして、政治的なコンセンサスを得るために重要な健康な課題を持ち出すべきではないと指摘している。将来的にどのような影響を及ぼすかはまだ不明としている。
2021年7月、イタリア総説。
Ajovalasit S, Dorgali VM, Mazza A, d’Onofrio A, Manfredi P. Evidence of disorientation towards immunization on online social media after contrasting political communication on vaccines. Results from an analysis of Twitter data in Italy. PLoS One. 2021 Jul 9;16(7):e0253569. doi: 10.1371/journal.pone.0253569. PMID: 34242253.