国際共同治験の規制をめぐって政策立案者のための倫理的枠組みについての総説(2020年5月)。

治験を推進することと、治験の参加者に損失が生じたときの保護の規制についてはトレードオフがあると指摘。新興国で、治験推進に偏る流れから、逆に保護の動きが出ていると説明する。チリは治験が増えており事例として適すると例に挙げる。2006年に臨床試験の初の法律を可決。その後、2015年に新たな法律で参加者保護の規制強化があったと紹介する。こうした参加者保護は厳しくなると、治験対象国を別の国にうつす動きにもつながると説明する。チリでも規制強化によって臨床試験の新規登録が減った可能性があるとする。

そこで3段階の枠組みを考慮するよう提案する。規制的な保護に健全な倫理的な根拠があるか。研究の利益や負担の公平性な配分などが、倫理的な基準が守られているか。例えば、意思決定の懸念があるからと、識字率の低い集団をしていた場合は問題になるとする。識字率が低いことと自発的な意思決定を行うこととは無関係であり、それは識字率の低い集団の権利行使を妨げていることにつながって改めるべきだとする。

さらに、規制的保護を実施する利点とコストが何かを確認すること。規制から利益を受ける人たち、コストを負担する人たちがいる。それらの全容を把握するように提案する。治験が規制を受けると、治験自体のリスクは減り参加者は保護される一方で、治験が進まないために新しい治療へのアクセスが制限するというコストも発生する。

最後には、規制的な保護は、すべてを考慮して倫理的に正当であるかを確認すること。前段階で検討している利益とコストのバランスを踏まえて、総合的な倫理判断をする。

2020年5月米国総説。

Aguilera B, DeGrazia D, Rid A. Regulating international clinical research: an ethical framework for policy-makers. BMJ Glob Health. 2020 May;5(5):e002287. doi: 10.1136/bmjgh-2020-002287. PMID: 32461225; PMCID: PMC7259867.

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執筆/編集/審査監修/AI担当

星 良孝(ほし・よしたか)
ステラ・メディックス代表/ 獣医師 ジャーナリスト。日経BP、エムスリーなどに所属し、医療や健康、バイオなどの分野を取材。

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