日本人の家族性膵臓がん関連遺伝子を全エクソームシーケンスから発見。
研究グループは、家族性膵臓がんの患者81人を対象として生殖細胞系列の全ゲノムシーケンスを実施。さらに、それに合わせた体細胞の遺伝子変化について21の腫瘍細胞を対象とした全エクソームシーケンスにより検証。コピー数異常も検証した。
欧米でも家族性膵臓がんとその関連遺伝子として知られるATMやBRCA2といった遺伝子の多型を特定したが、新規の関連する候補遺伝子(FAT4、FAT1、SMAD4など)の存在も特定に成功した。家族性膵臓がんで一般的なKRAS遺伝子の体細胞変異は今回の対象者では81%と定率で、範囲のない人では別の発症機序が存在している可能性が推定された。
研究グループは、日本でも家族性膵臓がんの存在を正しく理解し、家族性膵臓がんに関係する家系では定期的な検査を推奨している。ATM、BRCA1/2、PALB2の変異を有するがんは、PARP阻害剤やプラチナ製剤が効果を示すと考えられ、家族性膵臓がんの原因遺伝子の種類次第では、治療効果が期待できる分子標的薬剤が存在すると指摘する。
2020年8月日本研究。日本は大阪大学、東京女子医科大学、国立がん研究センター、東北大学、日本医療研究開発機構。
Annals of Surgery: August 18, 2020 – Volume Publish Ahead of Print – Issue -doi: 10.1097/SLA.0000000000004213