ヤンセン社は2023年3月4日、第18回欧州クローン病・大腸炎機構会議において、クローン病(CD)および潰瘍性大腸炎(UC)を対象としたウステキヌマブ(商品名ステラーラ)の長期安全性に関するデータを発表した。
プレスリリースのアウトラインは次の通り。
一つはデータはウステキヌマブの長期安全性についての最終プールデータ。このデータには、プールウステキヌマブの投与を受けた2575人が含まれ、合計4826人年の追跡調査が行われた。中等度から重度の活動性を有するCDとUCを含む炎症性腸疾患(IBD)の全適応症においてウステキヌマブの安全性プロファイルが確立され、それぞれ最長4年間および5年間使用できることが明らかになった。プラセボとウステキヌマブの間で主要な安全性事象の発生率が同等。最も頻繁に発生した有害事象は、頭痛、関節痛、腹痛、吐き気、発熱だった。
また、UNIFI LTE試験の最終臨床成績および内視鏡成績データも発表された。ウステキヌマブで治療したUCの50%以上が、4年後に臨床的寛解、臨床的奏効、内視鏡的改善を達成したことも明らかにされた。
以上が要点である。
CDやUCは日本において特定難病に指定されており、それぞれの病気に苦しむ人は指定難病の中でも特に多い。それぞれの病気を治療することは難しいが、今回の情報から見ると、長期にわたって症状が改善したという結果であり、病気に悩む人にとっては意味があるデータと言えるだろう。
炎症性サイトカインを抑えることで炎症を鎮めようという薬を見てみると、ベドリズマブ(商品名エンタイビオ)、セクキヌマブ(商品名コセンティクス)、イキセキズマブ(同トルツ)など多数ある。新しいデータが明らかになるにつれ、有効性や安全性の差も注目されそうだ。
参考文献
New STELARA(ustekinumab) Long-Term Data Support its Established Safety Profile in Inflammatory Bowel Disease and Durable Efficacy in Ulcerative Colitis
https://www.jnj.com/new-stelara-ustekinumab-long-term-data-support-its-established-safety-profile-in-inflammatory-bowel-disease-and-durable-efficacy-in-ulcerative-colitis