ローソンヘルス研究所、CHUM(the Centre hospitalier de l’Université de Montréal)、JGH(the Jewish General Hospital)が実施した世界初の臨床試験により、健康なドナーからの糞便微生物叢移植(FMT)が進行メラノーマ患者の免疫療法に対する反応を改善する可能性が示された。Nature Medicine誌に掲載されたこの画期的な研究は、がん治療におけるヒトマイクロバイオームの役割を明らかにし、治療効果を高める新たな道を開くものである。

メラノーマ治療における糞便移植の可能性

メラノーマ患者の免疫療法に対する反応は様々であり、研究者は治療成績を改善するための革新的な戦略を模索している。その方法の一つとして、健康なドナーから患者に健康な細菌叢を移植する糞便移植が考えられている。

学術誌『Nature Medicine』に掲載された今回の研究は、ローソンヘルス研究所、CHUM、JGHによって実施されたもの。第I相臨床試験は、免疫療法を開始する1週間前に糞便移植カプセルを投与された20人のメラノーマ患者を対象とした。この試験の目的は、糞便移植と免疫療法を併用することの安全性と有効性を評価することであった。

安全性を確認し、有効性も

研究の結果、糞便移植と免疫療法の併用は患者にとって安全であり、第I相試験の主要目的を満たしていることが明らかになった。注目すべきは、ドナーのマイクロバイオームを保持した患者の65%が、併用療法に対して臨床的反応を示したことである。しかし、免疫療法に関連した有害事象を経験し、治療中止に至った患者もいた。

この先駆的研究は、メラノーマ治療のパラダイムシフトとしての糞便移植の可能性を示すもの。今後、より大規模な第II相試験が行われることになる。研究者たちは他のがんや健康状態の治療における糞便移植の可能性を探っている。

参考文献

Fecal transplants show promise in improving melanoma treatment | Lawson Health Research Institute (lawsonresearch.ca)

https://www.lawsonresearch.ca/media-releases/fecal-transplants-show-promise-improving-melanoma-treatment

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執筆/編集/審査監修/AI担当

星 良孝(ほし・よしたか)
ステラ・メディックス代表/ 獣医師 ジャーナリスト。日経BP、エムスリーなどに所属し、医療や健康、バイオなどの分野を取材。

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