STELLANEWS.LIFE(ステラニュース・ライフ)は、医療、バイオテクノロジー、ライフサイエンスを中心に、重要な進展を多角的に報道することを目的とする情報メディアである。疾患予防から先端治療に至るまで、科学に裏打ちされた変化を捉え、日々進化する医療現場の意思決定に資する情報を発信している。今回紹介するのは次の内容である。
Johnson & Johnson傘下のJanssen-Cilag Internationalは、ダラツムマブ(商品名ダーズレックス)の皮下注射製剤が、高リスクくすぶり型多発性骨髄腫に対する単剤療法として欧州委員会(EC)より承認されたと発表した。
くすぶり型多発性骨髄腫(SMM)は症状を伴わない中間的病態であり、従来は「経過観察」が唯一の標準的アプローチだった。今回の承認は、固定期間でのダラツムマブ皮下注単剤療法が進行を有意に抑制することを示したAQUILA試験の結果に基づく。
- 発表元→Janssen-Cilag International(Johnson & Johnson傘下)
- 発表日→2025年7月23日
- 承認地域→欧州連合(EU)
- 対象疾患→高リスクくすぶり型多発性骨髄腫(SMM)
- 治療内容→ダラツムマブ皮下注製剤による単剤療法
- 臨床試験→AQUILA試験(第3相)において、ダラツムマブ群はモニタリング群と比較し、進行または死亡のリスクを51%低減(HR:0.49、p<0.001)
- 5年無増悪生存率→ダラツムマブ群63.1%、モニタリング群40.8%
- 5年全生存率→ダラツムマブ群93.0%、モニタリング群86.9%(HR:0.52)
- 安全性→Grade 3/4の有害事象は40.4%(対照群は30.1%)。最も多かったのは高血圧(5.7%)。治療中止は5.7%と低頻度
- 治療の意義→これまで治療介入がなかった高リスクSMMに対し、早期介入の選択肢が与えられたことにより、進行抑制やQOL改善の可能性が期待される
AIによる情報のインパクト評価(あくまで参考として受け取ってください)
★★★★★(★5つで最高評価)
これまで未承認だった高リスクSMMに対し、疾患進行前の早期介入を認めた初の治療薬であり、実臨床での治療戦略に大きな変化をもたらす。AQUILA試験における統計学的有意なリスク低減および生存率改善は、治療パラダイムを変える根拠として十分である。
