STELLANEWS.LIFE(ステラニュース・ライフ)は、がん、免疫、希少疾患を含む医療分野の革新を伝えることを使命とし、世界中の医薬品承認、臨床試験成果、技術的進歩を正確かつ中立に報道している。治療選択肢が限られた疾患領域における新たな治療薬承認には特に注目しており、今回紹介するのは次の内容である。
Rocheは、イナボリシブ(商品名イトベビ)が欧州委員会(EC)により、ホルモン受容体(HR)陽性かつヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陰性の局所進行性または転移性乳がんにおいて、PIK3CA変異を有する成人患者の治療薬として承認されたと発表した。対象は、術後内分泌療法完了から12カ月以内に再発した患者。
PIK3CA変異はER陽性乳がんの最大40%に存在し、治療抵抗性や予後不良との関連が知られている。これまでこの変異に特化した有効な治療法は限られていたが、INAVO120試験により初めて無増悪生存期間および全生存期間の延長が示された。
- 発表元→Roche
- 発表日→2025年7月23日
- 承認地域→欧州連合(EU)
- 対象疾患→ホルモン受容体陽性・HER2陰性・PIK3CA変異を有する局所進行性または転移性乳がん
- 治療内容→イナボリシブ(商品名イトベビ)+パルボシクリブ+フルベストラントの併用療法
- 臨床試験→第3相INAVO120試験において、無増悪生存期間中央値が15.0カ月(対照群は7.3カ月)と有意に延長(HR:0.43、p<0.001)
- 全生存期間→死亡リスクを33%低下(HR:0.67、p=0.0190)
- 化学療法までの期間→化学療法開始までの時間を約2年遅延(HR:0.43)
- 安全性→新たな安全性上の懸念は報告されておらず、良好な忍容性を示した
- 今後の開発→INAVO121、INAVO122、INAVO123の3つの第3相試験が進行中。乳がん以外の腫瘍型に対する適応拡大も検討
AIによる情報のインパクト評価(あくまで参考として受け取ってください)
★★★★★(★5つで最高評価)
進行乳がんにおけるPIK3CA変異に対応した初の全生存期間延長を示すPI3K阻害薬であり、バイオマーカーに基づく治療の実装を進める上で極めて重要。化学療法への移行を遅らせる点でも、患者QOLへの貢献が期待される。
