STELLANEWS.LIFE(ステラニュース・ライフ)は、科学や医薬品分野における革新を専門的な視点で伝えるメディアである。世界中の研究・開発の動向から特に注目すべき発表を取り上げ、医療の未来に関わる情報を持続的に発信している。今回紹介するのは、Bristol Myers Squibb(ブリストル・マイヤーズ スクイブ)が報告したアルツハイマー病治療薬候補に関する最新情報である。
アルツハイマー病は、神経細胞の変性と死滅を特徴とする進行性の神経変性疾患であり、認知機能の低下をもたらす最も一般的な認知症である。Bristol Myers Squibbが開発中の抗MTBRタウ抗体BMS-986446は、タウタンパク質の微小管結合領域(microtubule binding region:MTBR)を標的とし、異常タウの拡散と蓄積を抑制することを目的としている。今回、同剤がFDAのファストトラック指定を取得したことは、疾患修飾を目指す新しい治療戦略として重要な一歩といえる。
- 発表元→ Bristol Myers Squibb(米国)
- 発表日→ 2025年10月1日
- 対象疾患→ アルツハイマー病(Alzheimer’s disease)
- 研究の背景→ アルツハイマー病ではタウタンパク質の異常蓄積が神経細胞死を誘発することが知られており、MTBR領域を標的とする治療は病態進行の根本的抑制を狙うものである。
- 開発段階→ 第2相試験(TargetTau-1試験、NCT06268886)。早期アルツハイマー病患者を対象に、多施設共同・無作為化・二重盲検・プラセボ対照で実施中。
- 主要評価項目→ 臨床的症状の進行指標および脳内タウ・アミロイドβのバイオマーカー変化を包括的に評価。
- 前臨床および初期試験結果→ 前臨床モデルで異常タウの取り込み・拡散抑制と行動障害の改善を確認。第1相試験では安全性・忍容性を良好に示した。
- 作用機序→ タウタンパク質のR1〜R3領域に結合し、細胞間の異常タウ伝播を抑制。ミクログリアを活性化してタウを貪食させ、病的タウの除去を促進する。
- 安全性→ 第1相試験での有害事象は軽度。重篤な副作用の報告はなし。
- 臨床的含意→ 疾患修飾効果を有する可能性がある新規抗体療法として注目されており、既存の抗アミロイド療法とは異なる作用経路による補完的治療の可能性がある。
- 制限事項→ 現段階では早期患者を対象とした中間解析段階であり、臨床的有効性の確定には第3相試験が必要。
- 次のステップ→ 第2相試験結果を基に、2026年以降の第3相試験移行および承認申請を視野に検討。
AIによる情報のインパクト評価(あくまで参考として受け取ってください):
★★★★☆
タウタンパク質を直接標的とする疾患修飾薬として臨床応用の可能性が高い。作用機序の新規性と安全性データの良好さが評価される一方、第2相試験段階であるため実際の臨床効果は今後の検証が必要である。
