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CSL Seqirusは、欧州インフルエンザ科学作業部会(ESWI 2025)において、高齢者に対する強化型インフルエンザワクチン(Enhanced Influenza Vaccines:EIV)の実世界データを発表し、欧州全域での導入拡大を支持する新たなエビデンスを示した。今回の記事で伝える情報は次の通り。
- 65歳以上の高齢者において、強化型インフルエンザワクチン(EIV)の有効性が実世界データで確認された。
- アジュバント付き4価ワクチン(aQIV)と高用量4価ワクチン(HD-QIV)は、比較可能な保護効果を示した。
- 北欧諸国のデータは、EIVの導入拡大が医療負担とコスト削減に寄与することを示唆した。
CSL Seqirusが発表した複数の研究は、アジュバント付きおよび高用量インフルエンザワクチンが、標準用量ワクチンに比べ高齢者でより高い保護効果を示すことを確認した。2023〜2024年シーズンにおける米国データでは、aQIVとHD-QIVの相対ワクチン有効性(rVE)はほぼ同等であり、これらのワクチンはいずれも重症化予防に有効であった。さらに、北欧諸国を対象としたモデリング研究では、65歳以上へのEIV拡大が救急受診および入院を大幅に減少させる可能性が示された。
- 発表元→ CSL Seqirus(米国ニュージャージー州サミット)
- 発表日→ 2025年10月21日
- 対象疾患→ 季節性インフルエンザ(特に65歳以上の高齢者)
- 研究の背景→ 高齢者では免疫応答が低下し、インフルエンザによる重症化・入院・死亡のリスクが高い。強化型ワクチンがその予防手段として注目されている。
- 試験デザイン→ 米国での後ろ向き検査陰性デザイン試験(TND)および北欧4カ国を対象とした公衆衛生モデル分析。
- 一次エンドポイント→ aQIVおよびHD-QIVの相対ワクチン有効性(rVE)および入院予防効果。
- 二次エンドポイント→ 医療費削減効果および医療資源使用量の変化。
- 主要結果→ aQIVとHD-QIVのrVE差は-0.9%(95%信頼区間:-9.9〜7.3)で同等。北欧分析では、デンマークのEIV導入により70歳以上でアウトカム改善が確認された。
- 安全性→ 重大な新規安全性シグナルは報告されず。局所反応、頭痛、筋肉痛、倦怠感などが主な副反応として報告。
- 臨床的含意→ 高齢者におけるインフルエンザ重症化予防と医療費削減の両面でEIV導入の意義が明確化。
- 制限事項→ 観察研究であり、地域ごとの医療制度や接種政策の違いによる影響が残る。
- 次のステップ→ 欧州全域でのEIV接種拡大と費用対効果の継続的評価。
AIによる情報のインパクト評価(あくまで参考として受け取ってください):
★★★★☆
高齢者におけるインフルエンザ重症化予防を科学的に裏付ける実世界データであり、欧州での公衆衛生政策に影響を与える可能性が高い。
参考文献
CSL Seqirus:Enhanced Influenza Vaccines Provide Essential Protection for Older Adults – CSL Seqirus Presents New Evidence Supporting Broader Adoption Across Europe
https://newsroom.csl.com/2025-10-21-Enhanced-Influenza-Vaccines-Provide-Essential-Protection-for-Older-Adults-CSL-Seqirus-Presents-New-Evidence-Supporting-Broader-Adoption-Across-Europe

