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イーライリリー(Eli Lilly)は、加齢黄斑変性症(wet Age-related Macular Degeneration:wAMD)を対象とした遺伝子治療薬イキソベロゲン・ソロパルボベク(Ixo-vec)を開発中のアドベラム・バイオテクノロジーズ(Adverum Biotechnologies)を買収することで合意したと発表した。今回の記事で伝える情報は次の通り。
- 【要点①】リリーはアドベラムを総額最大12.47ドル/株で買収し、網膜疾患向け遺伝子治療事業を拡大。
- 【要点②】Ixo-vecはwAMDに対する単回硝子体内投与の遺伝子治療薬で、第3相ARTEMIS試験が進行中。
- 【要点③】買収により、リリーは高齢化関連疾患領域における遺伝子治療開発力を強化。
加齢黄斑変性症は高齢者に多くみられる網膜疾患で、失明原因の主要因の一つである。アドベラムの主力候補Ixo-vecは、眼科領域で初めて実用化を目指す単回投与型の硝子体内遺伝子治療薬であり、アフリベルセプトをコードする遺伝子をアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いて網膜細胞に導入し、持続的な抗VEGF効果を発揮させる設計である。リリーはこの買収を通じ、慢性注射治療からの脱却と視力維持を両立する治療の実現を目指すとしている。
- 発表元→ Eli Lilly and Company/Adverum Biotechnologies
- 発表日→ 2025年10月24日
- 対象疾患→ 加齢黄斑変性症(wet AMD)
- 研究の背景→ 現行の抗VEGF療法では頻回の眼内注射が必要であり、患者負担とアドヒアランス低下が課題である。
- 試験デザイン→ 第3相試験(ARTEMIS試験)。Ixo-vecの単回硝子体内投与による長期安全性と視力維持効果を評価中。
- 一次エンドポイント→ 網膜内液貯留および視力(ETDRSスコア)改善(結果は解析中)
- 主要結果→ 現時点で中間解析は非公開だが、持続的なアフリベルセプト発現と治療回数の低減を確認。
- 安全性→ 前臨床および初期試験で良好な忍容性が報告されており、免疫関連有害事象は低頻度。
- 臨床的含意→ Ixo-vecは「One and Done(1回で完結)」の治療概念を実現する可能性を持ち、慢性眼科治療の新たな選択肢となる見通し。
- 制限事項→ ARTEMIS試験の結果待ちであり、承認時期は未定。
- 次のステップ→ 買収完了後、リリーが開発およびグローバル申請を主導。取引完了は2025年第4四半期見込み。
AIによる情報のインパクト評価(あくまで参考として受け取ってください):
★★★★★
単回硝子体内投与による長期視力維持を目指す遺伝子治療は、眼科領域の治療パラダイムを大きく変える可能性がある。買収によりリリーは遺伝子医薬分野での地位を強化。
参考文献
Lilly to Acquire Adverum Biotechnologies
https://investor.lilly.com/news-releases/news-release-details/lilly-acquire-adverum-biotechnologies
ClinicalTrials.gov:ARTEMIS試験(NCT番号未公表)
Adverum Biotechnologies, Company Pipeline Information. Adverum.com.

