技術technology_banner

STELLANEWS.LIFE(ステラニュース・ライフ)は、科学技術・医療・ライフサイエンスの分野における研究成果を、中立的かつ正確に紹介するニュースメディアである。
サノフィ(Sanofi)は、高用量インフルエンザワクチン「エフルエルダ(Efluelda/北米名フルゾーン・ハイ・ドーズ)」が、高齢者における入院予防効果で標準量ワクチンを上回ることを示した第3相FLUNITY-HD試験の結果を発表した。今回の記事で伝える情報は次の通り。

  • 【要点①】エフルエルダは、標準量ワクチンに比べ入院リスクを31.9%追加的に低減(p<0.001)。
  • 【要点②】肺炎・インフルエンザによる入院、心肺系入院、全原因入院でも統計学的に有意な改善を示した。
  • 【要点③】FLUNITY-HDは、約46万6000人を対象とした史上最大の個別無作為化インフルエンザワクチン効果研究。

インフルエンザは高齢者において重篤化しやすく、入院や死亡の大きな要因となる。高齢者では免疫応答の低下によりワクチン効果が減弱することが知られている。今回報告されたFLUNITY-HD試験は、デンマーク(DANFLU-2)およびスペイン(GALFLU)で行われた個別無作為化研究の統合解析であり、高用量ワクチンが標準量ワクチンに比べ有意に優れた予防効果を示した。結果は2025年10月にLancet誌で発表された。

  • 発表元→ Sanofi
  • 発表日→ 2025年10月20日
  • 対象疾患→ 季節性インフルエンザ(高齢者を対象)
  • 研究の背景→ 高齢者では免疫応答が低下し、標準量ワクチンの効果が限定的であることから、より強い免疫誘導を目指す高用量ワクチンの臨床的有効性が注目されている。
  • 試験デザイン→ FLUNITY-HD:2つの個別無作為化第3相試験(DANFLU-2、GALFLU)の統合解析。総被験者数466,320人、対象年齢65歳以上。
  • 一次エンドポイント→ 肺炎/インフルエンザ入院率の低下(追加効果8.8%、95%信頼区間1.7–15.5、p=0.008)。
  • 二次エンドポイント→ 心肺系入院(6.3%低下、p<0.001)、全原因入院(2.2%低下、p=0.012)、実験室確認インフルエンザ入院(31.9%低下、p<0.001)。
  • 主要結果→ エフルエルダは標準量に比べ全ての重症アウトカムで優越性を示した。1人の入院を防ぐために必要な接種者数は515人(95%CI:278〜3,929)。
  • 安全性→ これまでの15年にわたる臨床データで一貫した安全性を確認。重大な新規リスクは報告されていない。
  • 臨床的含意→ 高用量ワクチンは、65歳以上の高齢者で入院や重症化リスクを低減し、公衆衛生上の負担軽減や医療費削減に寄与する可能性がある。
  • 制限事項→ 研究対象は高齢者に限定されており、他年齢層への一般化は限定的。
  • 次のステップ→ 各国での季節性インフルエンザ対策ガイドラインへの反映と、リアルワールドエビデンスの継続的な収集。

AIによる情報のインパクト評価(あくまで参考として受け取ってください):

★★★★★

標準ワクチンを上回る入院予防効果を個別無作為化試験で確認した初のエビデンスであり、65歳以上の予防接種戦略を再定義する可能性がある。

参考文献

Sanofi’s high-dose influenza vaccine demonstrates superior protection for older adults against hospitalization vs standard-dose
https://www.sanofi.com/en/media-room/press-releases/2025/2025-10-20-05-00-00-3169062

ClinicalTrials.gov:DANFLU-2/GALFLU(FLUNITY-HD)

Biering-Sørensen T, et al. The Lancet. 2025 Oct 17.

技術technology_banner

最前線を3分で

医療・科学・バイオの必読ニュースを厳選してお届けします。
AI編集 × 専門編集で“要点だけ

プライバシーポリシーをご覧ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です