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サノフィ(Sanofi)は、1型糖尿病(Type 1 Diabetes:T1D)ステージ3の成人および小児患者を対象とする免疫療法薬ティジールド(一般名テプリズマブ、teplizumab-mzwv)の追加生物製剤承認申請(sBLA)が、米国食品医薬品局(FDA)の「国家優先バウチャー(CNPV)パイロットプログラム」により迅速審査の対象として受理されたと発表した。今回の記事で伝える情報は次の通り。
- 【要点①】FDAがティジールドの追加適応申請を「国家優先バウチャー」制度で迅速審査対象に指定。
- 【要点②】対象は発症6週以内に診断されたステージ3の成人および8歳以上の小児T1D患者。
- 【要点③】第3相PROTECT試験で膵β細胞機能の有意な維持効果を確認(主要評価項目達成)。
テプリズマブはCD3に対するモノクローナル抗体であり、自己免疫反応を調節して膵β細胞の破壊を遅らせる作用を有する。既にステージ2のT1D患者に対して発症遅延効果が確認され、複数の国で承認を取得している。今回の申請は、発症後間もないステージ3の患者における疾患修飾効果を検証するものであり、承認されればT1D治療で初の「進行抑制療法」となる見込みである。
- 発表元→ Sanofi
- 発表日→ 2025年10月20日
- 対象疾患→ 1型糖尿病(ステージ3、発症初期)
- 試験名→ PROTECT試験(第3相、NCT03875729)
- 試験デザイン→ 無作為化・二重盲検・プラセボ対照・国際多施設試験。328人(8~17歳)のステージ3T1D患者を対象。
- 主要評価項目→ 混合食負荷試験(MMTT)後のCペプチドAUC変化量による膵β細胞機能維持効果。
- 主要結果→ プラセボ群に比べCペプチド減少速度を統計学的有意に抑制(p値非公表)。HbA1c、低血糖イベント、インスリン使用量でも改善傾向。
- 安全性→ 有害事象は既報と一致。主なものは頭痛、発疹、リンパ球減少、消化器症状。サイトカイン放出症候群は1.8%に発生。
- 次のステップ→ 承認審査は1~2カ月以内に完了見込み(通常10~12カ月)。BETA-PRESERVE試験(第3相、NCT07088068)が追跡検証中。
- 臨床的意義→ 100年以上ほとんど進展のなかったT1D治療において、疾患進行を修飾する初の免疫療法として期待される。
AIによる情報のインパクト評価(あくまで参考として受け取ってください):
★★★★★
自己免疫性1型糖尿病の臨床的ステージ進行を遅延させる初の疾患修飾治療薬として、免疫介入による糖尿病管理の新時代を開く可能性がある。迅速審査指定により承認時期が大幅に短縮される点でも注目度が高い。
参考文献
Sanofi’s Tzield accepted for expedited review in the US for stage 3 type 1 diabetes through FDA Commissioner’s National Priority Voucher pilot program
https://www.sanofi.com/en/media-room/press-releases/2025/2025-10-20-11-30-00-3169262
ClinicalTrials.gov:NCT03875729(PROTECT試験)、NCT07088068(BETA-PRESERVE試験)
発表:米国食品医薬品局(FDA)CNPVプログラム採択、Accelerated Approval申請中

