2022年11月20日に発表された研究では、野生のラットが多様な人獣共通感染症病原体の宿主となる可能性があり、これらの病原体の検出には従来の分子技術が用いられているが、これには限界がある。

マイクロバイオームプロファイリング技術を使用することで、サンプルのバクテリアやウイルスの構成を広範にスクリーニングし、(新興の)人獣共通感染症病原体を見逃すことなく検出できる。

研究の方法と結果

この研究では、野生のブラウンラットとブラックラットから採取した腎臓サンプルのDNAを用いて16S rRNA遺伝子アンプリコン配列決定が行われた。また、バイロームエンリッチメント(VirCapSeq)配列決定を用いて人獣共通感染症ウイルスの検出を試みた。結果から、潜在的に人獣共通感染症を引き起こす14のバクテリア属が同定され、特にLeptospira spp.Bartonella tribocorumの存在が確認された。

マイクロバイオームの多様性と病原体検出

シーケンスデータからは、サンプルの大部分が3つのバクテリアStreptococcusMycoplasmaLeptospiraによって支配されていることが示され、これらはβ多様性における観察された違いへの最大の寄与を示した。さらに、ラット肝臓サンプルのVirCapSeq配列決定により、潜在的に人獣共通感染症であるラット肝炎Eウイルスが3匹のラットで検出された。

研究の意義と今後の展望

16S rRNA遺伝子アンプリコン配列決定は種レベルの同定には限界があり、低微生物バイオマスサンプルでの汚染配列の影響を受けやすいが、野生動物における潜在的な人獣共通感染症バクテリアのより良い概観を得るための適切なプレスクリーニング方法である可能性がある。

参考文献

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/tbed.14759

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執筆/編集/審査監修/AI担当

星 良孝(ほし・よしたか)
ステラ・メディックス代表/ 獣医師 ジャーナリスト。日経BP、エムスリーなどに所属し、医療や健康、バイオなどの分野を取材。

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