ウイルスの殻変性解析から新型コロナウイルスの弱毒前駆ウイルスがセンザンコウから広がっていた可能性があるとする報告。
ウイルスの外殻と内殻を構成するMタンパク質とNタンパク質の天然変性を測定し、コロナウイルスの呼吸器感染と糞便感染の可能性を推定するモデルをMERSウイルス流行以前に構築。
SARSウイルスはグループBに分類し呼吸器感染と糞便感染の中間と推定。MERSウイルスと新型コロナウイルスはそれぞれグループCとグループBと推定。グループBは殻が硬く、酵素に強いため、唾液や粘膜の中でも抵抗性を示し、唾液や粘膜を通して感染可能とする。
巣穴に住むウサギやセンザンコウの持つコロナウイルスは同様に外殻が硬く、センザンコウのコロナウイルスが2017年以前に新型コロナウイルスの弱毒前駆ウイルスとして軽い風邪として人間で広がった可能性があると指摘。その後に強毒化した可能性があると説明する。センザンコウのコロナウイルスは遺伝的に新型コロナウイルスと近縁だが、Nタンパク質の変性状況が異なり、糞便感染が多く人への感染性が低いとする。
研究グループは内殻の変性が低いタイプは病原性が低く、新型コロナウイルスのワクチン株を予想可能とみる。
2020年8月、シンガポール、米国、ロシア研究。
Goh GK, Dunker AK, Foster JA, Uversky VN. Shell Disorder Analysis Suggests That Pangolins Offered a Window for a Silent Spread of an Attenuated SARS-CoV-2 Precursor among Humans [published online ahead of print, 2020 Aug 27]. J Proteome Res. 2020;10.1021/acs.jproteome.0c00460. doi:10.1021/acs.jproteome.0c00460