前立腺がんでのPI3K/AKT、PTEN/FOXO、ARシグナルの相互作用についての総説(2019年)。
PI3Kシグナル経路は、多くのがんにおいて活性化している。これにより栄養代謝、細胞増殖、生存、遊走、血管新生を制御して、腫瘍増殖を促す。
PI3K/AKTの活性化は、PTENのほか、SPOPの変異が関係。前立腺がんでは、PTENとSPOPの相互作用が確認されている。
AKTが活性化すると、下流の反応を活性化したり阻害したりする。
PI3K/AKTの重要なターゲットはFOXO1。FOXO1は、AKTによってリン酸化されて細胞質から核に移行する。ダウンストリームのターゲット遺伝子のトランス活性化を阻害するばかりではなく、AR、ERG、RUNX2といった他遺伝子の転写物質に依存した阻害作用も無効にする。
Ptenのヘテロ欠損やSpopの変異は前立腺がんの腫瘍形成に影響するとマウスで示されている。PI3K/AKT経路が他のパスウエイと相互作用して前立線がんの形成につながることを示している。
PI3K/AKTとAR、WNT、ERKといったシグナルの相互作用はがん進行や抵抗性を考える上で重要である。
2019年米国総説。
Yan Y, Huang H. Interplay Among PI3K/AKT, PTEN/FOXO and AR Signaling in Prostate Cancer. Adv Exp Med Biol. 2019;1210:319-331. doi:10.1007/978-3-030-32656-2_14