男性型脱毛症(AGA)がパッチで治療可能になるかもしれない。
このたび中国の研究グループが、酸化ストレスの緩和と血管新生の促進を同時に行うことができる「セリア・ナノザイム(CeNZ)」という酵素を組み込んだマイクロニードルパッチ「Ce-MNs」を設計し、AGA治療のために毛包周囲の微小環境を再構築することに成功、米国化学会(ACS)発行の『ASC Nano』。で7月に発表した。

ナノ粒子を酵素として活用

 薄毛は「セクシー」などともてはやされることもあるが、悩みの種と感じる人も多いのは確かだろう。AGAは最も一般的な脱毛症で、主な原因は過剰な活性酸素と毛包周囲の微小環境における不十分な血管形成となる。毛を作り出す毛包を取り囲む血管が十分ではなく、栄養分やサイトカインなどの必須分子が供給されなくなっている。頭皮に活性酸素が蓄積されると、新しい髪の毛を形成する細胞が早死にしてしまう。
 市販の治療薬は数多くあるものの、そのほとんどは、酸化ストレスや血行不良といった主要な原因に着目したものではない。
 研究グループは、過剰な活性酸素を除去する酵素を模倣したセリウムを含むナノ粒子に着目。これまでに肝臓の損傷、アルツハイマー病における酸化ストレスを軽減できることを突き止めていた。
 今回は、発毛を促進するため、セリウムを含むナノ粒子を皮下の深いところにある毛根の近くに届ける侵襲性の低い方法を設計することにした。ナノ粒子は皮膚の一番外側の層である表皮から浸透しないためとなる。
 そこで、まずセリウムのナノ粒子を生分解性のポリエチレングリコールと脂質の化合物でコーティングした。次に人間の皮膚にもともと多く含まれている物質であるヒアルロン酸とセリウム含有ナノ粒子の混合物を型に流し込み、溶解可能なマイクロニードルパッチを作った。研究チームは、除毛クリームで人工的に脱毛の状態を作ったオスのマウスを使って、セリウムを含んだパッチと比較対照になるパッチをテストした。

毛髪の発育が改善

 どちらの方法でも、マウスの毛根の周りに新しい血管の形成が促された。しかし、ナノ粒子パッチを使用したマウスでは、皮膚の色素沈着が早まり、新しい毛髪の発生時にのみ見られる化合物の濃度が高くなるなど、毛髪を作り出す兆候が早く現れた。また、これらのマウスでは、皮膚の酸化ストレス化合物が少なくなっていた。

 最終的に、セリウムを含むマイクロニードルパッチは、マウスの毛髪がより早く再生された。セリウムのナノ粒子を皮膚に導入するマイクロニードルパッチはAGAの有望な治療になる可能性もありそうだ。

www.acs.org

https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsnano.1c05272

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執筆/編集/審査監修/AI担当

星 良孝(ほし・よしたか)
ステラ・メディックス代表/ 獣医師 ジャーナリスト。日経BP、エムスリーなどに所属し、医療や健康、バイオなどの分野を取材。

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