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日本の小児科医は長時間労働にさらされていることが常態化しており、これを短縮するためには、タスクシフティングに適したタスクの特定と、タスクシフティングの推進が医療品質と労働時間に及ぼす影響を検討する必要がある。本研究は、小児科医を対象に全国規模でアンケート調査を行い、タスクシフティングに関する意見とその影響を収集し、健康政策への提言を考えるものである。
- 世界保健機関(WHO)→タスクシフティングを医療カバレッジの向上、利用可能な人材の効率的な使用、訓練と保持プログラムの拡大による能力の迅速な増加のための実行可能な解決策として提示
- タスクシフティングの取り組み→主に低所得および中所得国によって推進され、非伝染性疾患、HIV/AIDS、避妊配布、プライマリケアなど、様々な臨床分野での効果が実証されている
- 国際基準によると→日本の労働者は長時間労働しており、特に医師の労働時間が長い。60時間以上働く医師は全体の42%を占め、小児科は相対的に長い労働時間を持つ
- 2016年に厚生労働省→医師の労働スタイル改革に関する研究グループを設立し、2018年に医師の労働時間短縮を目的とした緊急の取り組みを発表。これにはプライマリメディカルケア、検査や手続きの説明、薬の説明と服薬指導、静脈血採取、静脈注射、静脈路の確保、尿道カテーテルの挿入、医療証明書と紹介状の作成などのタスクシフティングの推進が含まれる
- 日本の小児科医が直面する過重労働→短縮するためには、タスクシフティングに適したタスクを特定し、タスクシフティングの推進が医療品質と労働時間に与える影響を検討する必要がある
- 調査方法→全国の病院で勤務する小児科医を対象にアンケート調査
- 対象者→848病院の小児科医1,539人からの回答を得る
- 調査結果→タスクシフティングが推進された場合の医療品質の向上と労働時間の短縮
- アンケート回答→全国の848病院から、416病院の小児科医1,539人から有効な回答を得た(病院回答率49.0%)
- タスクシフティングの推進状況→45.4%の回答者が「あまり推進されていない」と報告し、15.0%が「全く推進されていない」と報告
- タスクシフティングが推進されていない要因→男性医師、国立及び公立大学病院、私立大学病院、私立病院で働く医師が、公立病院に比べてタスクシフティングが推進されていないと感じる傾向にあった
- タスクシフティングに関する具体的な項目→「薬の説明」と「抗生物質等の静脈注射」が主に移譲されたタスクとして挙げられた
- タスクシフティングの影響→59.8%の医師が、タスクシフティングの推進が医療品質にわずかながらまたは大きく改善をもたらすと回答。タスクシフティングによって労働時間が「1から2時間」短縮されると答えた医師が最も多かった(46.7%)
- 医師の働き方改革→タスクシフティングを含む労働時間短縮の取り組みが、医療関連の証明書や紹介状の発行、患者の説明などの領域で進んでいることが示された
- 政策提言→大学病院でのタスクシフティングの推進、小児科医の労働環境の改善