臨床試験の参加者個人データの共有と再利用についての総説(2017年)。

臨床試験のデータをどう共有するqか10の原則と実践的な提言に合意したと説明。欧州は個人情報の共有に厳格であり、そうした背景もあり、合意が取られている面がある。

次の通り原則を示している。

原則1:臨床研究における標準となるように、参加者個人のデータ提供を促進し、インセンティブを与え、資金を提供すべき。データ共有の計画はプロスペクティブに記載され、研究開発の初期段階から研究開発の一部となるべきである。

原則2:被験者個人のデータ共有は、科学的目的のために被験者のデータを共有し、再利用することに対して、被験者(または該当する場合は法定代理人)による明示的な広範な同意に基づくべき。

原則3:共有のために利用可能な被験者個人データは、再同定のリスクを最小化するためにデータセットを匿名化した上で、その目的のために準備されるべき。適用された匿名化の手順は記録されるべき。

原則4:相互運用性を促進し、解釈と分析における意味を保持するために、共有データは、可能な限り、広く認知されたデータおよびメタデータ標準を用いて構造化、記述、フォーマット化されるべき。

原則5:参加者のプライバシーを保護し、データ誤用のリスクを軽減するために、個々の参加者データおよび試験文書へのアクセスは、可能な限り公開でありながら、必要に応じて秘匿されるべき。

原則6:アクセス管理の文脈では、合理的な科学的疑問とそれに答えるための専門知識の両方を持つ市民またはグループは、参加者個人のデータおよび試験文書へのアクセスを要求できるようにすべき。

原則7:データアクセス要求の処理は、明確で、再現性があり、透明性があるものとすべきであるが、可能な限り、関係者全員に対する追加的かつ煩雑な負担を最小限にすべき。

原則8:個々の参加者データセットのほかに、あらゆるデータセットを完全に理解できるように、他の臨床試験データオブジェクト(例えば、プロトコール、臨床試験報告書、統計解析計画書、未記入の同意書)を共有できるようにすべき。

原則9:共有できるようにしたデータおよび試験文書は、データオブジェクトが適切に準備され、長期的に利用可能であり、安全に保存され、厳格なガバナンスの対象となっていることを確認するために、適切なデータリポジトリに転送されるべき。

原則10:共有のために利用できるようにしたデータセットや文書は、データオブジェクト自体だけでなく、どのようにアクセスできるかについても記述した、簡潔で一般に公開され、一貫して構造化された見つけやすいメタデータと関連付けるべき。これは、人間および機械双方にとっての見つけやすさを最大化するためのもの。

2017年ドイツ、イタリア、英国、フィンランド、米国、オーストラリア、デンマークスイス、ベルギー、カナダ、ポルトガル、オランダ総説。

Ohmann C, Banzi R, Canham S, Battaglia S, Matei M, Ariyo C, Becnel L, Bierer B, Bowers S, Clivio L, Dias M, Druml C, Faure H, Fenner M, Galvez J, Ghersi D, Gluud C, Groves T, Houston P, Karam G, Kalra D, Knowles RL, Krleža-Jerić K, Kubiak C, Kuchinke W, Kush R, Lukkarinen A, Marques PS, Newbigging A, O’Callaghan J, Ravaud P, Schlünder I, Shanahan D, Sitter H, Spalding D, Tudur-Smith C, van Reusel P, van Veen EB, Visser GR, Wilson J, Demotes-Mainard J. Sharing and reuse of individual participant data from clinical trials: principles and recommendations. BMJ Open. 2017 Dec 14;7(12):e018647. doi: 10.1136/bmjopen-2017-018647. PMID: 29247106; PMCID: PMC5736032.

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執筆/編集/審査監修/AI担当

星 良孝(ほし・よしたか)
ステラ・メディックス代表/ 獣医師 ジャーナリスト。日経BP、エムスリーなどに所属し、医療や健康、バイオなどの分野を取材。

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