人工妊娠中絶と将来の体外受精治療の利用の関係についての研究。

人工妊娠中絶後の将来の体外受精(IVF)治療の利用と関連因子を評価。

対象者は、2000年から2009年の間にフィンランドで人工妊娠中絶を受けたすべての女性(8万8522人)。人工妊娠中絶を受け、その後体外受精治療を受けた女性379人と、人工妊娠中絶の12~24カ月後に自然妊娠と出産を経験したすべての女性7434人を比較。

中絶時の人口統計学的特徴、中絶に関連する因子(中絶時の妊娠年齢、中絶の適応と方法、中絶後の合併症)を比べた上で、人口統計学的特徴や中絶に関連する要因が、将来的に体外受精治療の利用増加につながるのかを分析している。

中絶方法など不妊治療の有無で有意差はない

調査対象となる集団全体の中で、中絶後に体外受精治療を受けた女性の割合は0.4%。体外受精治療を必要とする女性は、比較対象となった女性と比べて、高齢で社会経済的地位が高く、過去の人工妊娠中絶と分娩の回数が少なかった。中絶時の妊娠年齢(妊娠12週未満または妊娠12週以上)、中絶方法、中絶の合併症には統計学的に有意な差は認められなかった。

多変量解析では、年齢が高くなるほど体外受精の使用が増加。過去の分娩歴や1回または2回の中絶歴は体外受精の利用減少につながる結果に。

研究グループは、中絶後に体外受精を必要とする不妊はまれと指摘。体外受精の利用が低い理由の一つは、計画外の妊娠をして人工妊娠中絶を受けている女性は、一般的に受胎可能性が高いという事実があると指摘。体外受精の利用は、中絶に関連する因子ではないとする。その上で、人工妊娠中絶時の年齢が高かったり、全体的な分娩数と人工妊娠中絶の数が低かったりした場合は体外受精利用と関連性があると説明する。

将来の体外受精との関連が認められた因子は「一般的に不妊の危険因子として認識されているもの」と説明。こうした心強いデータは、人工妊娠中絶を希望する女性にカウンセリングを行う際に重要だと指摘している。

2019年フィンランド、スウェーデン研究。

Männistö J, Mentula M, Bloigu A, Gissler M, Heikinheimo O, Niinimäki M. Induced abortion and future use of IVF treatment; A nationwide register study. PLoS One. 2019 Nov 14;14(11):e0225162. doi: 10.1371/journal.pone.0225162. PMID: 31725766; PMCID: PMC6855489.

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執筆/編集/審査監修/AI担当

星 良孝(ほし・よしたか)
ステラ・メディックス代表/ 獣医師 ジャーナリスト。日経BP、エムスリーなどに所属し、医療や健康、バイオなどの分野を取材。

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