ヤンセン社や米国フレッド・ハッチンソンがん研究センターなどが参加する研究グループは2022年10月5日、PLoS One誌で多価フィロウイルスワクチンAd26.FiloおよびMVA-BN-Filoを用いた異種レジメンの安全性と免疫原性を評価した無作為化対照第1相臨床試験の結果を報告した。

プレスリリースからその要点をまとめると次のようになる。

この研究では、72人の健康な成人が登録され、実際のワクチンまたはプラセボを接種するグループにランダムに分けられた。それから異なるスケジュールでワクチンを接種。

結果として、活性ワクチンを接種した参加者の100%がワクチン接種に反応し、投与21日後にエボラウイルス、スーダンウイルス、マールブルグウイルス糖タンパク質に対する結合抗体を示した。

同試験により、Ad26.FiloとMVA-BN-Filoを用いた2回接種のワクチンレジメンは、健康な成人において忍容性と免疫原性に優れていることが実証された。

以上より、ワクチンの有効性や安全性の基礎となるデータが初期の研究で確かめられたことになる。今後、ワクチンが本当に予防につながるか、実用化に堪えるのか、多数の人たちを対象に検証が続くことになる。

マールブルグウイルスの感染症がアフリカで死亡者を出したと報じられたところであり、こうしたワクチン開発の動きは一層注目されることになるだろう。経済のグローバル化にともない人の交流が増えており、ワクチンのような手段で、現地でウイルス感染を抑え込む重要性はますます高丸のだろう。

参考文献

Bockstal V, Shukarev G, McLean C, Goldstein N, Bart S, Gaddah A, Anumenden D, Stoop JN, Marit de Groot A, Pau MG, Hendriks J, De Rosa SC, Cohen KW, McElrath MJ, Callendret B, Luhn K, Douoguih M, Robinson C. First-in-human study to evaluate safety, tolerability, and immunogenicity of heterologous regimens using the multivalent filovirus vaccines Ad26.Filo and MVA-BN-Filo administered in different sequences and schedules: A randomized, controlled study. PLoS One. 2022 Oct 5;17(10):e0274906. doi: 10.1371/journal.pone.0274906. PMID: 36197845; PMCID: PMC9534391.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36197845/

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執筆/編集/審査監修/AI担当

星 良孝(ほし・よしたか)
ステラ・メディックス代表/ 獣医師 ジャーナリスト。日経BP、エムスリーなどに所属し、医療や健康、バイオなどの分野を取材。

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