アストラゼネカ社は2023年2月22日、免疫療法の組み合わせであるデュルバルマブ(商品名イミフィンジ)とトレメリムマブ(同イジュド)が、進行性の肝がんおよび非小細胞肺がんの治療薬として欧州委員会(EC)から承認されたことを発表した。

プレスリリースを読むと、その要点は次の通りになる。

今回の承認はHIMALAYAおよびPOSEIDONの第III相臨床試験の結果に基づくものである。

まず、進行性または切除不能な肝細胞癌(HCC)に対する最初の治療選択肢として併用療法が承認された。

この治療はSTRIDE(単剤トレメリムマブ定期間隔デュルバルマブ、Single Tremelimumab Regular Interval Durvalumab)レジメンと呼ばれるもので、トレメリムマブ(300mg)とデュルバルマブ(1500mg)という2種類の薬剤を単回投与した上で、4週間ごとにさらにデュルバルマブを投与するものだ。

この安全性と有効性を確認したのがHIMALAYA Phase IIIと呼ばれる研究である。これは薬物療法をまだ受けていない進行性の肝臓がんを対象に行われ、STRIDEレジメンがソラフェニブと呼ばれる既存の治療法と比べられた。

この結果、ソラフェニブの治療を受けた場合よりも、併用療法により死亡リスクを22%低減し、ソラフェニブ治療では中央値で13.8カ月生きていたのに対し、STRIDE治療を受けた人は中央値で16.4カ月生きていたことが確認された。また、STRIDE治療を受けた患者の約31%が3年後も生存していた。この治療法の安全性に関する新たな問題は見られず、2つの薬剤を単独で使用した場合と同等の安全性があると示された。

また、転移性非小細胞肺がん(NSCLC)についても、最初の治療選択肢として2つの薬剤にプラチナ製剤の化学療法も含めた併用療法が承認された。この安全性と有効性を確認したのがPOSEIDON Phase IIIと呼ばれる研究だった。

これも薬物療法をまだ受けていない転移性の肺がんを対象に行われ、併用療法によって化学療法単独で行うよりも長生きできると確認された。化学療法単独では中央値で11.7カ月生きたのに対して、新しい治療を受けた人は中央値で14.0カ月生きるという結果だ。また、2年後も生存している人が約33%であったのに対し、化学療法単独では22%だった。新しい治療法の副作用は、個々の薬剤と同様だ。

転移性肺がんは肺がんの中でも最も進行したがんで、欧州では転移性NSCLCの患者さんのうち、診断されてから5年間生存できるのは5%程度という。

要点は以上のようになる。肝臓がんにしても肺がんにしても従来治療よりも2~3カ月生存期間を延ばせるなどの効果が確認されたことになる。これら併用療法が初回から行われる可能性も出てくる。

デュルバルマブもトレメリムマブもタイプの異なる免疫チェックポイント阻害薬である。

トレメリムマブは日本では承認されたところで2023年2月時点では薬価はこれから付けられる段階だが、デュルバルマブは既に承認され薬価も付いている。そこから見ると、肝臓がんのSTRIDEレジメンで使われる薬剤を見ると、1500mgの薬剤量が示されているが、これは薬価は約124万円となる。4週間ごとに薬剤が使われるため、それだけ薬剤費がかかることになる。

免疫チェックポイント阻害薬では問題になってきたところだが、この薬価をいかに保険料や国費で賄うのか今後、医療経済面でも議論になるものと考えられる。

参考文献

Imfinzi plus Imjudo approved in the EU for patients with advanced liver and non-small cell lung cancers
https://www.astrazeneca.com/media-centre/press-releases/2023/imfinzi-plus-imjudo-approved-in-the-eu-for-patients-with-advanced-liver-and-non-small-cell-lung-cancers.html

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執筆/編集/審査監修/AI担当

星 良孝(ほし・よしたか)
ステラ・メディックス代表/ 獣医師 ジャーナリスト。日経BP、エムスリーなどに所属し、医療や健康、バイオなどの分野を取材。

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