乳房インプラントに関連して発生する乳房インプラント関連未分化大細胞リンパ腫(BIA-ALCL)は、遺伝子の変異によりリスクが高まる可能性があるのかもしれない。米国セントルイス・ワシントン大学の研究グループが報告している。2022年11月にAesthetic Surgery Journalに掲載されたもの。

論文の要点は次の通り。

関連するゲノムの変異について、コピー数変化、染色体転座などのゲノムに見られる異常がないか、BIA-ALCLになった人を対象として解析した。

結果としてSTAT3変異とNRAS変異という、BIA-ALCLやほかのALCLでこれまで報告されていなかった遺伝子の変異が突き止められた。さらに、11q22.3欠失というタイプの遺伝子の異常が共通して確認された。

以上が、この研究から明らかになったものである。特定の乳房インプラントを使ってバストを大きくする豊胸術を受けたときに、ここに示したようなタイプの乳がんが発生するということで問題になった。

既に、原因になる乳房インプラントは回収されているが、このような遺伝子の異常がリスクを高める要因になると分かったことで、今後、豊胸術を受けるときにその後のがんのリスクにつながりやすいのかどうかが判別できる可能性もある。

まだ基礎的な研究なので、実用化とは遠いかもしれないが、遺伝子を調べることで、未知のリスクを見えるようにできるわけで、利用の価値は大きいかもしれない。

参考文献

Akkad N, Kodgule R, Duncavage EJ, Mehta-Shah N, Spencer DH, Watkins M, Shirai C, Myckatyn TM. Evaluation of Breast Implant-Associated Anaplastic Large Cell Lymphoma With Whole Exome and Genome Sequencing. Aesthet Surg J. 2023 Feb 21;43(3):318-328. doi: 10.1093/asj/sjac282. PMID: 36351182.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36351182/

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執筆/編集/審査監修/AI担当

星 良孝(ほし・よしたか)
ステラ・メディックス代表/ 獣医師 ジャーナリスト。日経BP、エムスリーなどに所属し、医療や健康、バイオなどの分野を取材。

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