ドイツハイデルベルク大学を中心とした研究グループが、システマティックレビューおよびメタアナリシスによって、ビタミンD3の毎日投与ががん死使用につながる可能性があると示した。2023年3月にエイジング・リサーチ・レビューに掲載された。

ビタミンD3補給は、がん死亡率の予防策となりうることが示されている。今回の研究では、無作為化プラセボ対照試験のシステマティックレビューとメタアナリシスを実施した。

合計10万4727人の参加者と2015人のがん死亡者を含む14の無作為化プラセボ対照試験を特定。全14試験の主なメタ解析ではがん死亡率が6%減少だったが、この差は有意でなかった。しかし、サブグループ解析では、毎日投与する試験ではプラセボ群と比べてビタミンD3群でがん死亡率が12%低下することが示された。ボーラスレジメンを用いた試験では、死亡率の低下は観察されなかった。

ビタミンD3は免疫機能と関連することがかねて報告されているが、

ビタミンD3は、ビタミンDの一種で、がん予防に役立つと考えられている。ビタミンDの摂取量や血中濃度が高いほど、大腸がん、乳がん、前立腺がん、卵巣がんのリスクが低下することが、数多くの疫学研究で示されている。また、 ビタミンDは、細胞分化の促進、がん細胞の増殖抑制、細胞死の促進、腫瘍血管の形成抑制など、がんの発生を遅らせたり予防したりする可能性のあるいくつかの活性を持つことが判明している。観察研究では、ビタミンDは、がんの初期発生に対する予防よりも、がんによる死亡に対するより大きな予防効果をもたらす可能性が示唆されている。1日1,000単位のビタミンDを摂取することで、大腸がんのリスクを50%も低減できる可能性がある。

参考文献

Kuznia S, Zhu A, Akutsu T, Buring JE, Camargo CA Jr, Cook NR, Chen LJ, Cheng TD, Hantunen S, Lee IM, Manson JE, Neale RE, Scragg R, Shadyab AH, Sha S, Sluyter J, Tuomainen TP, Urashima M, Virtanen JK, Voutilainen A, Wactawski-Wende J, Waterhouse M, Brenner H, Schöttker B. Efficacy of vitamin D3 supplementation on cancer mortality: Systematic review and individual patient data meta-analysis of randomised controlled trials. Ageing Res Rev. 2023 Jun;87:101923. doi: 10.1016/j.arr.2023.101923. Epub 2023 Mar 31. PMID: 37004841.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37004841/#full-view-affiliation-8

Vitamin D and Cancer Prevention – NCI

The Role of Vitamin D in Cancer Prevention – PMC (nih.gov)

Vitamin D Supplements and Prevention of Cancer and Cardiovascular Disease | NEJM

Does Vitamin D Have a Role in Cancer Prevention? (cancernetwork.com)

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執筆/編集/審査監修/AI担当

星 良孝(ほし・よしたか)
ステラ・メディックス代表/ 獣医師 ジャーナリスト。日経BP、エムスリーなどに所属し、医療や健康、バイオなどの分野を取材。

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