STELLANEWS.LIFE(ステラニュース・ライフ)は、医療分野における最新の研究成果を紹介するメディアである。科学的なエビデンスに基づいた情報を発信し、読者が新たな医療技術の発展を理解するための手助けを目的としている。今回紹介するのは、バーチャルリアリティ(VR)を用いたアダルトビデオが精液の質に与える影響を調査した研究である。
本研究は、精子ドナーがマスターベーション時にVRヘッドセットを用いたアダルトビデオを視聴することで、精液の質がどのように変化するかを検討したもの。これまでの研究では、アダルトビデオの種類や視聴時間が精液パラメータに影響を及ぼすことが示されていたが、VRという没入型の視聴体験がもたらす影響は未解明であった。本研究では、VRが精液の運動精子数に与える影響に着目し、ランダム化クロスオーバー試験によりその有効性を検討した。
- 発表元→デンマークの研究機関
- 発表日→2022年10月11日
- 研究の目的→VRを用いたアダルトビデオの視聴が精液の質に与える影響を評価すること
- 研究デザイン→ランダム化対照クロスオーバー試験
- 対象者→デンマーク国内の4カ所の精子バンクで提供された63人の精子ドナー
- 介入内容→参加者はマスターベーション時にVRヘッドセットを用いたアダルトビデオ視聴群と、タッチスクリーンモニター視聴群の2つの条件で精液を採取
- 主要評価項目→総運動精子数
- 研究結果→短期間(24時間未満)の禁欲において、VRを使用すると運動精子数が増加。一方で、平均禁欲期間(58時間)においてはVR使用の有無で差は見られなかった
- 臨床的意義→不妊カップルや、がん治療前に精子保存を行う患者において、短期間の禁欲期間での精液採取の質を向上させる可能性
