STELLANEWS.LIFE(ステラニュース・ライフ)は、医薬・生命科学分野における研究成果を迅速に届けるメディアである。糖尿病、心不全、代謝異常といった複雑な疾患メカニズムの解明は、今後の個別化医療や創薬にとって重要な手がかりとなる。今回は、糖尿病による心不全の発症メカニズムにアミノ酸代謝異常が関与していることを明らかにした研究成果を紹介する。
神戸大学と静岡県立大学の研究グループは、糖尿病による心不全の発症要因として分岐鎖アミノ酸代謝異常が関与していることを示した。脂肪細胞におけるインスリン抵抗性をもつマウスモデルを用いた解析により、心筋におけるロイシンの蓄積がmTORC1シグナルの異常活性化を引き起こし、心肥大を誘導する新たなメカニズムが明らかになった。この発見は、糖尿病性心筋症に対する新規治療戦略の可能性を示すものである。
- 発表元→神戸大学大学院医学研究科・静岡県立大学大学院薬食生命科学総合学府
- 発表日→2025年5月7日
- 研究の背景→糖尿病性心筋症における心不全リスク上昇と、分岐鎖アミノ酸代謝の役割に関心が高まっていた
- 研究の手法→PDK1欠失によりインスリン抵抗性を示すマウスを用い、心筋の代謝と構造変化を解析
- 研究の結果→心筋内のロイシン蓄積がmTORC1シグナルを活性化し、心肥大を誘導することを確認
- 重要な発見→分岐鎖アミノ酸の代謝を促進する薬剤により、mTORC1活性および心肥大が改善
- 発表のポイント→糖尿病に起因する心臓病の発症機序に新たな分子経路が関与することを示し、創薬への応用が期待される
