東北大学の研究チームは、礼法に基づく「しゃがんで立つ動作」を取り入れた短時間運動が下肢筋力の向上に有効であることを確認した。
対象は健康な成人34名で、無作為化比較試験により礼法トレーニング群とコントロール群に分けて評価が行われた。
その結果、礼法群は3カ月間の実施後に平均25.9%の膝伸展筋力向上を示したのに対し、コントロール群は2.5%の増加にとどまった。
短時間で日常生活に取り入れやすいことから、高齢期の筋力低下予防策としての可能性が注目される。
- 発表元→ 東北大学
- 発表日→ 2025年9月1日
- 対象→ 健康な成人34名(20歳以上65歳未満)
- 研究の背景→ 下肢筋力は高齢期の自立生活に不可欠だが、現代生活ではしゃがむ動作が減少し、筋力維持が難しくなっている
- 試験デザイン→ 無作為化比較試験。礼法トレーニング群(17名)とコントロール群(17名)
- 介入内容→ 1日約5分、週4日以上。礼法に基づく立ち座り動作としゃがみ立ち動作をゆっくり実施
- 主要結果→ 礼法群で平均25.9%の筋力増加、対照群では2.5%の増加
- 安全性→ 有害事象の報告なし。運動負荷は軽度で日常生活に適応しやすい
- 臨床的含意→ 短時間で負担の少ない運動として、高齢期の筋力低下予防や転倒リスク低減に有用となる可能性
- 制限事項→ 若年から中年の成人が対象であり、高齢者への直接的な効果は未検証
- 次のステップ→ 高齢者対象の臨床試験や日常生活での実装研究
★★★★☆
従来のスクワットや筋力トレーニングに比べ、文化的価値を有する礼法を用いた方法である点は新規性が高い。ただし、臨床応用は今後の追加検証が必要である。
