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AKEEGA、BRCA変異mCSPCでFDA優先審査、rPFS48%低減

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STELLANEWS.LIFE(ステラニュース・ライフ)は、がん領域における分子標的療法と遺伝子診断に基づく個別化治療の最新動向を伝える医療科学メディアである。 今回は、ジョンソン・エンド・ジョンソン(Johnson & Johnson)が2025年10月16日に発表した、 BRCA遺伝子変異を有する転移性去勢感受性前立腺がん(mCSPC)に対する 二重作用錠「AKEEGA(ニラパリブ+アビラテロン酢酸エステル)」の 米国食品医薬品局(FDA)による優先審査(Priority Review)取得を報じる。

  • 【要点①】AKEEGAがBRCA変異mCSPCを対象にFDA優先審査を獲得。
  • 【要点②】第3相AMPLITUDE試験で放射線学的進行または死亡リスクを48%低減
  • 【要点③】初のPARP阻害薬+アンドロゲン抑制併用療法として、精密医療領域を拡張。

AKEEGAは、PARP阻害薬ニラパリブ(niraparib)と、CYP17阻害薬アビラテロン酢酸エステル(abiraterone acetate)を 一錠に統合した二重作用錠(dual-action tablet; DAT)である。 今回のsNDA(追加新薬申請)は、第3相AMPLITUDE試験の結果に基づき提出された。

AMPLITUDE試験(第3相)概要と結果

  • 試験デザイン: グローバル多施設・二重盲検・無作為化・プラセボ対照試験(NCT04497844)
  • 対象: BRCAを含むHRR遺伝子変異を有するmCSPC患者696例(32か国)
  • 介入群: AKEEGA+プレドニゾン+アンドロゲン除去療法(ADT)
  • 対照群: アビラテロン酢酸エステル+プレドニゾン+ADT
  • 主要評価項目: 放射線学的無増悪生存(rPFS)
  • 副次評価項目: 症候性進行までの期間、全生存(OS)、安全性

主要結果

  • rPFS:HR=0.52(95% CI: 0.37–0.72, p<0.0001) → 進行または死亡リスク48%低減。
  • 症候性進行までの期間:HR=0.44(95% CI: 0.29–0.68, p=0.0001) → 56%延長。
  • 全生存(OS):HR=0.75(95% CI: 0.51–1.11) → 死亡リスク25%低減の傾向。
  • 主なGrade 3/4有害事象:貧血(53.9% vs 25.5%)、高血圧(47.1% vs 32.1%)。

作用機序と治療的意義

AKEEGAは、DNA修復阻害(PARP阻害)アンドロゲン生成抑制(CYP17阻害)という 2つのメカニズムを1製剤で併用する革新的な治療概念を体現する。 BRCA変異を有する前立腺がんは、DNA損傷修復能力の欠損により治療抵抗性が高く、 従来の内分泌療法では十分な制御が困難とされていた。 本薬は、こうした分子異常を標的とする「遺伝子選択型精密医療」の中核として位置付けられる。

疾患背景:転移性去勢感受性前立腺がん(mCSPC)

mCSPC(metastatic castration-sensitive prostate cancer)は、 前立腺がんが他臓器へ転移しつつもホルモン療法(ADT)に反応を示す段階である。 しかし、ほぼ全例が時間経過とともに治療抵抗性を獲得し、 より予後不良な転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)へと進行する。 患者の約25%にBRCAを含むHRR遺伝子変異が認められ、予後悪化と関連する。 よって、早期の遺伝子検査による治療選択が重要である。

安全性(AMPLITUDE試験・既知情報より)

  • 造血毒性: 貧血、血小板減少、好中球減少に注意。重度の場合は投与中止と骨髄評価を推奨。
  • 肝障害: ALT/AST上昇例あり。重度肝機能障害例への使用は推奨されない。
  • 心血管関連: 高血圧、低カリウム血症、浮腫に留意。
  • 稀な有害事象: 骨髄異形成症候群(MDS)/急性骨髄性白血病(AML)、可逆性後白質脳症症候群(PRES)。
  • 胎児毒性: 妊婦への投与は禁忌。男性は治療中および終了後4カ月間避妊が必要。

企業コメントと展望

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、AKEEGAが承認されれば 「BRCA変異mCSPCに対する初のPARP阻害薬ベース併用療法」となるとし、 精密腫瘍学の新たな章を開く治療選択肢と位置付けている。 Janssen Biotech社は、GlaxoSmithKline(旧TESARO)との提携により、 前立腺がん領域におけるニラパリブの独占的権利を有する。

AIによる情報のインパクト評価(参考)

★★★★★(極めて高い)

AKEEGAは、BRCA変異を標的とした初のmCSPC向け併用療法として、 前立腺がんの治療シーケンスを変える可能性が高い。 これまでmCRPC段階で使用されていたPARP阻害薬を、 より早期(感受性段階)に導入することで、疾患進行を遅らせる戦略が実証された。 本件は、がん遺伝子診断と治療統合の臨床モデルとして注目される。

参考文献

Johnson & Johnson. “Johnson & Johnson receives U.S. FDA Priority Review for AKEEGA (niraparib and abiraterone acetate dual-action tablet) in BRCA-mutated metastatic castration-sensitive prostate cancer.” (発表日:2025年10月16日)
https://www.jnj.com/media-center/press-releases/johnson-johnson-receives-u-s-fda-priority-review-for-akeega-niraparib-and-abiraterone-acetate-dual-action-tablet-in-brca-mutated-metastatic-castration-sensitive-prostate-cancer

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