STELLANEWS.LIFE(ステラニュース・ライフ)は、科学技術・医療・ライフサイエンス分野における最新の研究成果を、中立的かつ正確に紹介するニュースメディアである。感染症領域では、HIVの治療・予防をめぐる長期持続型製剤や経口併用療法の開発が進展している。今回紹介するのは、Gilead Sciencesが欧州エイズ学会(EACS 2025)で発表したHIV治療および予防に関する新たな研究データである。
- 【要点①】長期作用型製剤レナカパビル(商品名イェツトゥゴ)の半年ごとの投与による予防効果と安全性データを報告。
- 【要点②】5年間のBICSTaR実臨床データにより、ビクタルビ(一般名ビクテグラビル/エムトリシタビン/テノホビル アラフェナミド)の長期有効性と耐容性を確認。
- 【要点③】週1回または年2回投与の新しい長期併用療法の試験結果を発表し、HIV治療の利便性向上が示唆された。
Gilead Sciencesは、HIV治療および予防領域における複数の進行中試験の成果をEACS 2025で報告した。今回のデータは、長期的なウイルス抑制を維持しつつ、服薬負担を軽減する新たな治療・予防選択肢を提示するものである。特に、半年に一度の皮下注射によるレナカパビルの予防的使用(PrEP)は、従来の経口薬に代わる選択肢として注目されている。
- 発表元→ Gilead Sciences
- 発表日→ 2025年10月15日
- 対象疾患→ ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症
- 研究の背景→ HIV治療は長期化し、服薬アドヒアランスが臨床的課題である。一方、予防(PrEP)では持続的な曝露防止策の必要性が高まっている。
- 試験デザイン→ PURPOSE 2・PURPOSE 5試験(PrEP評価)、BICSTaR観察研究(長期治療追跡)、ARTISTRY-1試験(複雑レジメンから単剤化への切り替え)、ISLEND-1/2および長期併用試験。
- 一次エンドポイント→ レナカパビルの併用薬との安全性(PURPOSE 2)、ウイルス抑制維持率(BICSTaR、ISLEND)。
- 二次エンドポイント→ 治療継続率、患者報告アウトカム(PRO)、QOLスコア、併用薬との薬物相互作用。
- 主要結果→ PURPOSE 5試験では高リスク群における半年投与レナカパビルの高い持続率を確認。PURPOSE 2ではスタチンやPDE-5阻害薬との併用も安全と評価。BICSTaR 5年追跡では、95%以上がウイルス抑制を維持し、耐性発現は認められなかった。
- 安全性→ 主な有害事象は注射部位反応、頭痛、悪心。重篤な副作用は報告されていない。レナカパビルはCYP3A4中程度阻害薬であるため、併用薬に対するモニタリングが推奨される。
- 臨床的含意→ レナカパビルは、HIV予防および治療の双方における長期作用型製剤としての可能性を示した。ビクタルビは依然として高い安全性と有効性を示しており、個別化医療の基盤薬としての地位を強化している。
- 制限事項→ 一部の試験は進行中であり、耐性ウイルス発現や長期曝露後の安全性については今後の評価が必要。
- 次のステップ→ レナカパビルの併用療法および女性を対象とした長期予防研究の拡大。ISLEND-1/2の最終解析は2026年に予定されている。
AIによる情報のインパクト評価(あくまで参考として受け取ってください):
★★★★★
レナカパビルの半年投与による予防および治療適応拡大は、HIV管理のパラダイムを変える可能性がある。服薬負担軽減と耐性管理の両立を目指す点で臨床的意義が大きい。
参考文献
Gilead Presents New HIV Research Data at EACS 2025 – Driving Scientific Innovation in Treatment and Prevention
https://www.gilead.com/news/news-details/2025/gilead-presents-new-hiv-research-data-at-eacs-2025–driving-scientific-innovation-in-treatment-and-prevention
ClinicalTrials.gov:PURPOSE 5(N06513CT312)/BICSTaR(NCT03580668)/ARTISTRY-1(NCT05502341)/ISLEND-1(NCT05052996)
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03580668
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05502341
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05052996
EACS 2025公式サイト
https://eacs-conference.com
