STELLANEWS.LIFE(ステラニュース・ライフ)は、科学技術・医療・ライフサイエンスの分野における研究成果を、中立的かつ正確に紹介するニュースメディアである。世界的な多発性骨髄腫治療の研究が進展する中、Johnson & Johnsonが発表した新たな併用療法の結果は、今後の臨床現場における治療戦略に影響を与える可能性がある。今回の記事で伝える情報は次の通り。
- 【要点①】テクリスタマブ(商品名テクベイリ)とダラツムマブ(商品名ダラザレックス ファスプロ)の併用が、標準治療群と比較して無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を統計学的有意に改善。
- 【要点②】第3相試験MajesTEC-3で独立データモニタリング委員会(IDMC)が統計的有意差に基づき試験の盲検解除を推奨。
- 【要点③】安全性は既知の単剤プロファイルと一致し、追加的な有害事象は認められなかった。
多発性骨髄腫は根治が難しい血液がんの一つであり、治療抵抗性を示す症例が増加している。免疫系を活性化する新たな併用療法への期待が高まる中、Johnson & Johnsonの第3相試験MajesTEC-3では、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするテクリスタマブと、CD38を標的とするダラツムマブの併用が、標準治療に比べて有意に優れた生存期間延長効果を示した。これにより、二次治療以降の新たな選択肢として注目されている。
- 発表元→ Johnson & Johnson Innovative Medicine
- 発表日→ 2025年10月16日
- 対象疾患→ 再発または難治性多発性骨髄腫(RRMM)
- 研究の背景→ RRMM患者では、複数の前治療後に有効な治療選択肢が限られているため、免疫標的併用療法の開発が進められている。
- 試験デザイン→ 第3相試験(MajesTEC-3)。テクリスタマブ+ダラツムマブ併用群と、標準治療(ダラツムマブ+ポマリドミド+デキサメタゾンまたはボルテゾミブ+デキサメタゾン)群を比較。
- 一次エンドポイント→ 無増悪生存期間(PFS)(統計学的有意に改善)
- 二次エンドポイント→ 全生存期間(OS)(統計学的有意に改善)
- 主要結果→ 追跡期間約3年で、併用群は標準治療群に比べPFSおよびOSを有意に延長。IDMCは統計的有意差を理由に試験の盲検解除を推奨。
- 安全性→ 併用療法の安全性は各単剤の既知のプロファイルと一致し、重篤な新規有害事象は認められなかった。
- 臨床的含意→ 二次治療以降における標準治療の新たな選択肢となる可能性がある。
- 制限事項→ 追跡期間が中間解析段階であり、長期的安全性と有効性の評価が今後の課題。
- 次のステップ→ 今後、主要学会での詳細発表および当局への承認申請を予定。
AIによる情報のインパクト評価(あくまで参考として受け取ってください):
★★★★☆
免疫併用療法の臨床的有用性を裏付ける結果であり、治療体系の更新に寄与する可能性がある。ただし長期データの確認が必要。
参考文献
TECVAYLI plus DARZALEX FASPRO combination regimen significantly improves progression-free survival and overall survival versus standard of care
https://www.jnj.com/media-center/press-releases/tecvayli-plus-darzalex-faspro-combination-regimen-significantly-improves-progression-free-survival-and-overall-survival-versus-standard-of-care
ClinicalTrials.gov:MajesTEC-3(NCT05083169)
https://clinicaltrials.gov/study/NCT05083169
