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STELLANEWS.LIFE(ステラニュース・ライフ)は、科学技術・医療・ライフサイエンスの分野における研究成果を、中立的かつ正確に紹介するニュースメディアである。ファイザー(Pfizer)は、チロシンキナーゼ阻害薬TUKYSA(一般名ツカチニブ:tucatinib)を用いた第3相試験「HER2CLIMB-05」の結果を発表し、HER2陽性転移性乳がんにおける一次維持療法として有意な無増悪生存期間(PFS)の改善を示したことを明らかにした。今回の記事で伝える情報は次の通り。

  • 【要点①】TUKYSA併用療法が一次維持治療においてPFSを統計学的に有意に改善。
  • 【要点②】安全性は良好で、各薬剤の既知のプロファイルと一致。
  • 【要点③】本試験結果は、HER2陽性転移性乳がんにおける初の化学療法フリー維持療法の可能性を示す。

HER2CLIMB-05試験は、初回化学療法(トラスツズマブ+ペルツズマブ+タキサン)による導入治療後に疾患進行を認めなかったHER2陽性転移性乳がん患者を対象に、ツカチニブ(TUKYSA)またはプラセボを追加した維持療法の有効性を検証した無作為化・二重盲検・プラセボ対照第3相試験である。

  • 発表元→ Pfizer Inc.
  • 発表日→ 2025年10月14日
  • 試験名→ 第3相 HER2CLIMB-05試験
  • 対象疾患→ HER2陽性転移性乳がん(HER2+ MBC)
  • 研究の背景→ HER2陽性乳がんは全乳がんの約15〜20%を占め、予後不良型に分類される。一次治療後も2年以内に多くの患者が進行を経験する。
  • 試験デザイン→ 無作為化・二重盲検・プラセボ対照。トラスツズマブ+ペルツズマブ併用による維持療法にTUKYSA(n=326)またはプラセボ(n=328)を追加。
  • 主要評価項目→ 無増悪生存期間(PFS:Progression-Free Survival)
  • 主要結果→ ・TUKYSA群でPFSが統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善を示した。
    ・安全性は各薬剤の既知のプロファイルと整合し、新たな懸念は報告されなかった。
  • 安全性→ 下痢(81%、重度3〜4は12%)、肝機能障害(ALT上昇8%、AST上昇6%)、発疹、食欲低下など。これらは用量調整により管理可能。重大な副作用は全体の2%(敗血症、脱水、突然死など)に報告。
  • 臨床的意義→ TUKYSAは、化学療法を伴わない一次維持療法の新たな選択肢となる可能性を持ち、HER2陽性転移性乳がんの長期管理戦略を変える可能性がある。
  • 制限事項→ 全生存(OS)データは未成熟であり、今後のフォローアップ結果が待たれる。
  • 次のステップ→ 学会発表および規制当局との協議を経て、適応拡大の申請を検討予定。

AIによる情報のインパクト評価(あくまで参考として受け取ってください):

★★★★★

HER2陽性転移性乳がんの治療パラダイムにおける維持療法の概念を再定義する可能性があり、実臨床への影響は極めて大きい。

参考文献

TUKYSA Combination Significantly Improves Progression-Free Survival as First-Line Maintenance in HER2+ Metastatic Breast Cancer in HER2CLIMB-05 Trial
https://www.pfizer.com/news/press-release/press-release-detail/tukysa-combination-significantly-improves-progression-free

Swain SM et al. CLEOPATRA Study: Lancet Oncol. 2020;21(4):519–530.

HER2CLIMB-05 ClinicalTrials.gov ID: not yet disclosed(報告時点)

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